人はウネウネした動きに心をもっていかれる。この連載でも全6回に渡って、勅使河原蒼風さんや、岡本太郎さんの作品を題材に、そんなお話をさせていただきました。
うねる曲線は、大自然や生命のエネルギーを象徴します。目の前でウネウネと、うねられれば、うねられるほど、心が惹きつけられて、命のエキスみないなものを注入させられる気がしてきます。ためしに、目の前の人に、体をウネウネとしてもらってください。それを真正面で味わい受けとめてください。
ね、テンションあがるでしょ? 体つきもできるだけ、曲線的な女性にやってもらってください。女性がいなければ、男性でもいいんですが、できるだけ手足の長い、長髪の男性がいいと思います。長髪がだめなら、丸みが強調されたスキンヘッドの方でもいいです。
おわかりのとおり、そのウネウネ表現=命の表現は、とんでもなく多くのクリエイションに活用されています。
舞踏、書道、いけばな、呪術、獅子舞、ロックンロール、新体操、スケート、カンフー、世界の祭り、流木や鹿の角などの置物、ジェットコースターなどの遊び、おもちゃ、 絵画、造形、図案、あげたらキリない。 そもそも直線は概念でしかないから、あたりまえっちゃーあたりまえなんですけど、それでもウネウネとうねりまくってる表現の多いこと! 曲線を活かす表現は、縄文人の作った土器から最近の集団女性ダンサーにいたるまで、じつにスーパーグローバル&ロングランで人の心を惹きつけます。
「造形の美にせまる」全6回のウネウネ表現について、同意していただければ、さらにクリエイションの謎が紐解かれます。
たとえば、ラーメンを紐解いてみます。ラーメンはその形、味覚以外にも、行程などもうねる曲線のオンパレードなんですよー!
さあ、いきますよー!
食としてのラーメンがこれほどまでにロングランなのは、味や手頃さのほかに、こんなにもウネウネ=命のイメージを撒き散らしているからなんです。
ウネウネ表現、各自、いろんなことに当てはめて表現の奥深さを紐解いてみてください。
タナカカツキ
1966年、大阪府出身。18歳でマンガ家デビュー。以後、映像作家、アーティストとしても活躍。マンガ家として『オッス! トン子ちゃん』、『バカドリル』(天久聖一との共著)など作品多数。1995年に、フルCGアニメ『カエルマン』発売。CM、PV、テレビ番組のオープニングなど、様々な映像制作を手がける。映像作品『ALTOVISION』では「After Effects」や「3ds Max」を駆使して、斬新な映像表現に挑んだ。キリンジのアルバム『BUOYANCY』など、CDのアートディレクションも手掛ける。