今回は、前回に紹介した2種類のクォータ機能(ユーザーを単位としてドライブごとに設定するクォータと、ユーザーに関係なくフォルダごとに設定するクォータ)のうち、前者の、ユーザー単位のクォータについて解説する。
ちなみにこの機能、Windowsサーバだけでなく、Windows 2000以降のデスクトップ版Windowsでも、エディションによっては利用可能である。覚えておくと、何か役に立つことがあるかも知れない。
ドライブに対して、ユーザー単位のクォータを設定する
前回に解説したように、ユーザー単位のクォータはドライブごとに設定する。ここでいうところの「ドライブ」とは、物理的なハードディスクではなく論理的なドライブのことなので、ひとつのハードディスクを複数のパーティションに分割すれば、個別にクォータを設定できる。
注意しなければならないのは、ユーザー単位のクォータは設定を有効にした後に書き込まれたファイルだけを監視する点だ。クォータを設定する前から存在するファイルは、たとえ監視対象に指定したユーザーが所有者であっても、クォータによる監視の対象にはならない。そのことを考慮するとクォータを設定する作業は運用開始前に行う必要がある、ということになる。
ドライブに対してユーザー単位のクォータを設定する際の手順は以下の通りだ。
エクスプローラのウィンドウを開いて、左側のツリー画面で[コンピューター]を選択する。すると、画面右側にドライブ一覧が現れる。
そのドライブ一覧の中から、クォータを設定するドライブを選択して、[ファイル]-[プロパティ]、あるいは右クリックして[プロパティ]を選択する。
続いて表示するプロパティ画面で[クォータ]タブに移動して、[クォータの管理を有効にする]チェックボックスをオンにする。
次に、[ディスク領域を制限する]を選択してから、上限値と警告レベルを指定する。こうすることで、設定した上限値を超えるファイルの書き込みを不可能にできる。また、ディスク使用量が警告レベルに達したユーザーについては、後述する[クォータエントリ]ウィンドウで[警告]表示を行うようになる。
[ユーザーがクォータ制限値を越えたらイベントをログに記録する]チェックボックスと、[ユーザーが警告レベルを超えたらイベントをログに記録する]チェックボックスをオンにすると、使用量の制限を超過したユーザーが発生したときに、そのことをイベントビューアの[システムログ]で確認できる。
- 最後に[OK]をクリックしてダイアログを閉じる。
また、使用量の上限値を超えたときに書き込みを禁止するには、[クォータ制限を超過したユーザーのディスク割り当てを拒否する]チェックボックスもオンにする。このチェックボックスがオフになっている場合、設定した上限値を超えても「上限を超えた」ことを記録するだけで、書き込みは可能だ。いきなり書き込めなくなる事態は避けたいが、使用量の監視は行いたいという場面では、このチェックボックスはオフにする方がよいだろう。
監視対象となるユーザーを指定する
ここまでの作業では、クォータ機能が有効になっただけで、誰と誰に対して監視を行うかが決まっていない。そこでさらに、クォータの監視対象になるユーザーをクォータエントリに追加する作業が必要になる。ユーザーを監視対象に指定する際の手順は、以下の通りである。
ドライブのプロパティ画面で、[クォータ]タブにある[クォータエントリ]をクリックする。
[クォータエントリ]をクリックすると表示する[クォータエントリ]ウィンドウで、[クォータ]-[新規クォータエントリ]を選択する。
続いて表示するダイアログで、クォータの監視対象にするユーザーを指定する。前回にも言及したことだが、ここで指定できるのはユーザーアカウントだけで、グループは対象にできない。
続いて、指定したユーザーに対するクォータ設定値の確認ダイアログを表示する。先にドライブに対して設定した値を既定値として提示するが、さらに別の値に変更することもできる。
最後に[OK]をクリックすると、[クォータエントリ]ウィンドウの一覧に、指定したユーザーの情報が加わる。この操作を、監視対象にしたいユーザーすべてについて繰り返す。
ユーザーを指定すると、続いてこの画面を表示する。ここで、クォータ設定値の確認・変更を行う |