過去2回にわたり、DNSサーバに対する前方参照ゾーンの追加・削除と逆引き参照ゾーンの追加・削除について解説してきた。今回と次回の2回に分けて、それらのゾーンにレコードを登録・変更・削除する作業について解説する。
DNSレコードの種類と意味
DNSサーバが「仕事」をするには、参照すべき情報を持つ必要があり、それをレコードと呼んでいる。すでに述べてきているように、主なレコードの種類として以下のものがある。
・Aレコード : 正引き(ホスト名から、対応するIPアドレスを調べること)に使用する。IPv4用。前方参照ゾーンに登録
・AAAAレコード : 正引き(ホスト名から、対応するIPアドレスを調べること)に使用する。IPv6用で「クアッド・エー・レコード」と読む。前方参照ゾーンに登録
・SOAレコード : ゾーンの特性やデータの属性を定義する。前方参照ゾーンに登録
・MXレコード : ドメイン名とメールサーバの対応を定義する。前方参照ゾーンに登録
・CNAMEレコード : 既存のAレコードに対して別名を定義する。前方参照ゾーンに登録
・PTRレコード : 逆引き(IPアドレスからホスト名を調べること)に使用する。逆引き参照ゾーンに登録
このうちユーザーが手作業で登録しなければならないことが多いのは、SOAレコード以外のものだ。
LANでActive Directoryを運用している場合、AレコードやPTRレコードについては動的更新機能によって、クライアントPCが自動的に情報を送ってきて登録するようになっている(クライアントPC側で、明示的に動的更新の機能を無効化している場合を除く)。動的更新によらずに手作業で登録することもできるが、それは固定IPアドレスを割り当てたコンピュータに限られるだろう。
このほか、WindowsサーバのDHCPサーバ機能を利用している場合、それがクライアントPCにIPアドレスをリースしたときに、同じ情報をDNSサーバに送ってくるルートがある。こうすることで、リースしたIPアドレスとコンピュータ名の対応に一貫性を持たせている。もっとも、これが必要になるのは、クライアントPCがDNS動的更新に対応していない古いOSを使用している場合に限られる。Windowsでいうと、Windows 9x/NT以前のバージョンが該当する。
MXレコードやCNAMEレコードは自動的に登録することはないので、必要に応じてユーザーが手作業で登録することになる。
AレコードとPTRレコードの一括登録
まず、正引き用のAレコードと、それと対をなす逆引き用のPTRレコードを一度に登録する際の手順について解説する。
個別に登録することもできるが、矛盾のない登録を行うには一括登録の方が好ましい。ただし、一括登録を行うには逆引き参照ゾーンが存在していなければならない。
[サーバーマネージャー]の[ツール]メニューから、[DNSマネージャー]管理ツールを起動する。
左側のツリー画面で[前方参照ゾーン]を選択してから、[操作]-[新しいホスト(AまたはAAAA)]、あるいは右クリックして[新しいホスト(AまたはAAAA)]を選択する。
続いて表示するダイアログで、ホスト名とIPアドレスを指定する。ホスト名はFQDNではなく、「名前」の部分だけを指定するので、たとえば「artemis.foo.local」ではなく「artemis」となる。
同じダイアログで、[関連付けられたポインタ(PTR)レコードを作成する]チェックボックスがオンになっているかどうかを確認して、オフになっている場合にはオンに変更する。こうすることで、Aレコードに加えてPTRレコードを一括登録できる。ただしこれを行うには、作成場所となる逆引き参照ゾーンを事前に作成しておかなければならない。
[ホストの追加]をクリックすると、レコードを登録する。追加後もダイアログはそのまま表示しているので、引き続き、別のホストの情報を登録できる。追加登録を行わない場合には、[完了]をクリックしてダイアログを閉じる。
PTRレコードの単独登録
一括登録を行っていなかった、あるいはAレコードを登録する時点で逆引き参照ゾーンを作っていなかったときには、別途、PTRレコードだけを手作業で登録する必要がある。
[サーバーマネージャー]の[ツール]メニューから、[DNSマネージャー]管理ツールを起動する。
左側のツリー画面で[前方参照ゾーン]を選択してから、[操作]-[新しいポインター(PTR)]、あるいは右クリックして[新しいポインター(PTR)]を選択する。
続いて表示するダイアログで、IPアドレスのうちホストアドレス部の数値と、対応するホスト名を指定する。このとき、ホスト名はFQDNで指定する点がAレコードと異なるので注意が必要だ。たとえば「artemis」ではなく「artemis.foo.local」となる。なお、対応するホストのAレコードを先に登録してあれば、[参照]をクリックすると表示するダイアログで選択することもできる。
[OK]をクリックすると、レコードを登録する。