今回は、DHCPサーバ編の締めくくり・その二である。DHCPデータベースのバックアップと復元、それとDNSサーバとの連携機能の設定について取り上げよう。
DHCPデータベースのバックアップと復元
WindowsサーバのDHCPサーバには、DHCPサーバが使用する情報を記録したデータベース(DHCPデータベース)をバックアップ、あるいは復元する機能がある。
多数のスコープを登録している場合、スコープ オプションの設定内容が多岐にわたる場合、アドレス予約の設定を行っている場合のように、復元に手間がかかる設定を行っているDHCPサーバでは、DHCPデータベースをバックアップしておくとよいだろう。手順は以下の通りである。
[DHCP]管理ツール左側のツリー画面で、サーバ名を選択する。
[操作]-[バックアップ]、あるいは右クリックメニューで[バックアップ]を選択する。
- 続いて表示するダイアログで、バックアップ先を指定する。既定値は「%SystemRoot%\dhcp\backup」だが、別のコンピュータの共有フォルダ、あるいはリムーバブルメディアにする方が、冗長化の見地からは好ましいだろう。
続いて、バックアップ先を指定する |
ちなみに、[DHCP]管理ツールのツリー画面でDHCPサーバのプロパティ画面を表示させると、[詳細設定]タブでバックアップ先の既定値を変更できる。
同じ右クリックメニューに[復元]があり、こちらを選択すると、バックアップ先のデータから現在使用中のDHCPサーバに復元を行う。なお、復元に際してはDHCPサーバ(正確にはDHCP Serverサービス)の再起動が必要になるので、再起動中は一時的にサービスが利用できなくなる。
DHCPサーバとDNS動的更新の連動設定
Windows 2000以後に登場したWindows(Windows Meを除く)はDNS動的更新の機能を標準装備しているので、DHCPサーバから割り当てを受けた場合でも、固定IPアドレスを設定している場合でも、コンピュータ名とIPアドレスの対応について、自動的にDNSサーバに登録するようになっている。
しかし、DNS動的更新に対応していないOSでは、この仕組みが機能しないので、DNSサーバの側では、どのコンピュータにどのIPアドレスを割り当てたのかが分からない。
そこで、DHCPサーバがクライアントに割り当てたIPアドレスの情報を、DNSサーバに通知する機能がある。これを利用することで、DNSサーバは遺漏なくホスト名とIPアドレスの対応を管理できる。もちろん、リースが終わったときにはその情報も通知するので、ゴミが残ることはない。
この設定は、DHCPサーバとスコープのいずれに対しても行えるが、ここではDHCPサーバの設定変更について解説する。いずれもプロパティ画面で指定する。
[DHCP]管理ツール左側のツリー画面で、[DHCP]-[<サーバ名>]-[IPv4]を選択した状態で、[操作]-[プロパティ]、あるいは右クリックメニューで[プロパティ]を選択する。
続いて表示するダイアログで、DHCPサーバ全体に共通する設定変更が可能である。使用するのは[DNS]タブだ。
既定値では[以下の設定に基づいて、DNS動的更新を有効にする]チェックボックスがオンになっており、DHCPクライアントからDHCPサーバに対してアドレス割り当て要求があったときに、それを受けて割り当てたIPアドレスと相手のコンピュータ名の情報を、DNSサーバに通知する。
[リースが削除されたときに、AおよびPTRレコードを廃棄する]チェックボックスもオンになっているので、使わなくなったIPアドレスの情報についても通知して、DNSサーバ側で該当するレコードを自動削除する。
クライアントPCでWindows NTなどの旧いOSを使用しているときには、[更新を要求しないDHCPクライアント~]チェックボックスをオンにする。
同じダイアログの[全般]タブで、DHCPに関連する監査ログ記録の有効/無効や、統計ログを記録する間隔を指定できる。
必要な設定がすべて完了したら、[OK]をクリックしてダイアログを閉じる。