今回は、ターミナルサービス/リモートデスクトップサービスのライセンス管理機能を取り上げる。前回に解説したように、導入から120日間限定の「お試し期間」で利用する場合は別として、恒久的な利用に際してはCALの購入が必要だ。

ターミナルサービス/リモートデスクトップサービスには、CALに関する情報を自動的に管理する機能があり、プロダクトキーの情報を入力すると自動的にクライアントにライセンス情報を配布するようになっている。

ライセンスサーバの設定

CALの情報を管理するためのサーバ機能は「ライセンスサーバ」と呼ばれる。この機能が動作するサーバは、ドメインあるいはフォレストごとに1台ずつ設置する。ドメインとフォレストのどちらを使用するかは、役割を追加する際の検索スコープの選択内容に依存する。

前回に解説したように、Windows Server 2008であれば[TSライセンス]、Windows Server 2008 R2であれば[リモートデスクトップライセンス]の、各役割サービスを追加することで、ライセンスサーバの機能を実現できる。

ただし、役割サービスの追加だけでは話が終わらず、さらに購入したCALに対応するライセンスキーを入力する操作が必要だ。プロダクトキーは、CAL購入時に割り当てを受けるはずなので、それを使う。これにより、クライアントPCはライセンス管理サーバから必要なライセンス情報を受け取ることができる。それによって初めて、正規のユーザーであると認識される。

(1) まず、[サーバーマネージャ]左側のツリー画面で、[ターミナルサービス]-[ターミナルサービス構成]-[ライセンス診断](Windows Server 2008)、あるいは[リモートデスクトップサービス]-[リモートデスクトップサービス構成]-[ライセンス診断](Windows Server 2008 R2)をクリックして、CALの状況を確認する。

[ライセンス診断]を使用すると、ライセンスサーバの設定・動作状況を確認できる(画面は未設定の状態)。ライセンスの構成を行っていないと、警告のバルーンを表示する

(2) 次に、[スタート]-[管理ツール]以下にある[ターミナルサービス]-[TSライセンスマネージャ](Windows Server 2008)、あるいは[リモート デスクトップ]-[リモートデスクトップライセンスマネージャ](Windows Server 2008 R2)を選択する。

(3) 左側のツリー画面で、最上位の[すべてのサーバ]以下にある[(コンピュータ名)]を選択してから、[操作]-[サーバのアクティブ化]、あるいは右クリックして[サーバのアクティブ化]を選択する。

(4) [サーバーのアクティブ化ウィザード]が起動する。ウィザード2画面目で、マイクロソフトのライセンス管理サーバと接続する方法を選択する。選択肢は[自動接続(推奨)][Webブラウザ][電話]の3種類で、通常は[自動接続]を使用する。ただし、インターネットに接続できない環境では[電話]を使用する。

マイクロソフトのライセンス管理サーバと接続する方法を選択する

(5) 3~4画面目で、ユーザー情報を入力する。3画面目では姓名、国または地域、会社名を、4画面目では所在地の郵便番号、都道府県、市区町村、会社住所、組織単位、電子メール アドレスを指定する。4画面目で[次へ]をクリックすると、ライセンスサーバをアクティブ化する。

(6) ウィザード最終画面で、[ライセンスのインストールウィザードを開始する]チェックボックスがオンになっているかどうか確認してから、[次へ]をクリックして続行する。

(7) [ライセンスのインストールウィザード]の2画面目で、ライセンスプログラムの種類を選択する。以下の選択肢があり、CALの購入形態に合わせて選択する必要がある。早い話が、どのボリュームライセンスプランを利用しているかという意味である。

  • License Pack(量販店での購入)
  • Open License
  • Select Agreement
  • Enterprise Agreement
  • Campus Agreement
  • School Agreement
  • Services Provider License Agreement
  • その他のライセンス契約

ライセンスプログラムの種類を選択する

(8) 次の画面で、CALを購入したときに割り当てを受けたプロダクトキーを入力して、[追加]をクリックする。すると、その情報が下の一覧に加わる。異なる複数のプロダクトキーを追加することもできる。また、追加したプロダクトキーを選択して[編集]をクリックすると変更が、[削除]をクリックすると削除が可能だ。ここで、手持ちのすべてのプロダクトキーを一覧に追加してから続行する。

リモートデスクトップサービス用のCALを購入したときに割り当てを受けたプロダクトキーを、下の一覧に追加する

(9) [次へ]をクリックすると、マイクロソフトのライセンス管理サーバと通信して、「クライアントライセンスキーパック」と呼ばれるデジタル証明書のインストールを行う。問題がなければ、インストール完了後に最終画面を表示するので、[完了]をクリックする。作業完了後に、冒頭と同じ[ライセンス診断]を使って、正しくインストールできたかどうかを確認しておくとよいだろう。

なお、CALは後から買い増すことも可能で、その際は新たにプロダクトキーの割り当てを受ける。そこで、[TSライセンスマネージャ]あるいは[リモートデスクトップライセンス マネージャ]管理ツール左側のツリー画面でサーバ名を選択して、[操作]-[ライセンスのインストール]、あるいは右クリックして[ライセンスのインストール]を選択すると、新規導入時と同じ要領でプロダクトキーの追加が可能だ。

ユーザーの接続状況確認とアクセス許可

クライアントから接続する際の操作はすでに第61回で取り上げた。そのクライアントの接続状況を確認する手順やアクセス許可の設定についてもまとめておこう。

[サーバーマネージャ]左側のツリー画面で[役割]以下の[ターミナルサービス]-[ターミナルサービスマネージャ]-[<サーバ名>](Windows Server 2008)、あるいは[リモートデスクトップサービス]-[リモートデスクトップサービス マネージャ]-[<サーバ名>](Windows Server 2008 R2)を選択すると、画面中央にある3枚のタブで、アクセスしているユーザーやセッションの状況を確認できる。

[リモートデスクトップマネージャ]で、接続中のユーザーに関する情報を表示させた例

こちらはセッション状態の表示例

ユーザーに対するアクセス許可は、ターミナルサービス/リモートデスクトップサービスが動作するサーバのローカルグループ「Remote Desktop Users」を利用して行う。役割追加の際に指定した「利用を許可するグループの指定」とは、そこで指定したグループを「Remote Desktop Users」グループのメンバーに加える操作に他ならない。だから、購入したCALに適合する範囲内であれば、利用を許可したいユーザー、あるいはそのユーザーが所属するグループを「Remote Desktop Users」グループのメンバーに加えることで、ターミナルサービス/リモートデスクトップサービスの利用が可能になる。

なお、「Remote Desktop Users」グループはコンピュータ自身が持つローカルグループなので、管理には[コンピュータの管理]管理ツールを使用する。これは[スタート]-[管理ツール]以下から呼び出すことができる。