今回は、Webサイトの追加について取り上げる。ここでいう「Webサイト」とは、一般的にいう「Webサイト」とは意味が異なる。IISの場合、Webコンテンツを公開する際の単位を「サイト」と称しており、初期状態では「C:¥Inetpub¥wwwroot」に対応する[Default Web Site]または[既定のWebサイト]だけが存在する。
それとは別にWebサイトを追加して、1つのWebサーバで複数のWebサイトを運用することもできるが、宛先IPアドレスあるいは宛先ポート番号をWebサイトごとに分けなければならない。そうしないと、クライアントがどのWebサイトに接続すればよいのかわからないからだ。
最初に設置するWebサイトでは、HTTPの既定値である80番を使うことで宛先ポート番号を省略できる。ところが、2番目以降のサイトは80番以外を使う必要がある。その結果、必然的にURLはホスト名にポート番号を付加したものになる。例えば、IPアドレスを「192.168.0.2」、宛先ポート番号を「8080」にした場合、URLは「http://192.168.0.2:8080/」となるわけだ。
Webサイトの追加が必要な場面
では、どういった場面でWebサイトの追加が必要になるのだろうか?
最もポピュラーな場面は、SSL(Secure Socket Layer)を使用する時だろう。SSLを使用するコンテンツと使用しないコンテンツでWebサイトを分けるという使い方だ。サーバ証明書をインストールしたうえで、SSLを使用するWebサイトでのみSSLを有効にすればよい。
SSLとHTTPの組み合わせ(HTTPS)では、宛先ポート番号の既定値は443番で、HTTPの80番とは異なる。そのため、HTTPを使用するWebサイトとHTTPSを使用するWebサイトを1つずつ配置して共存させる分には、いずれもウェルノウンポートで接続できる。つまり、HTTPなら「http://<ホスト名>/<サブフォルダ名>/<ファイル名>」、HTTPSなら「https://<ホスト名>/<サブフォルダ名>/<ファイル名>」といったURLを指定すればよい。
しかし、3番目以降のWebサイトを追加する場合は、他のサーバ機能と重複しない宛先ポート番号の指定が必須になる。
IIS 6.x編
まず、IIS 6.xでWebサイトを追加する際の手順について解説する。
(1)追加するWebサイトのためにコンテンツフォルダを用意する。既定のWebサイトが使用する「C:¥Inetpub¥wwwroot」とは独立したフォルダツリーを用意するほうがよいだろう。
(2)IIS管理ツールを起動する。
(3)左側のツリー画面で[(サーバ名)]-[Webサイト]を選択する。
(4)[操作]-[新規作成]-[Webサイト]、あるいは右クリックメニューで[新規作成]-[Webサイト]を選択する。
(5)Webサイトの追加はウィザード形式で行う。まず、Webサイトの名前を指定する。
(6)次に、リッスン対象となるIPアドレスと宛先ポート番号、ホストヘッダーを指定する。ホストヘッダーの既定値は空白で、特に必要がなければそのままでよい。
(7)次に、ホームディレクトリのパスと匿名アクセスの可否を指定する。不特定多数に公開するWebサイトでは、匿名アクセスを認めておかなければ接続不可能になってしまう。
(8)次に、アクセス権の設定を行う。読み取り・書き込みなどの可否について指定できるようになっている。また、アプリケーションの実行を認めるかどうかも設定できる。
(9)ウィザード最終画面で[完了]をクリックすると、Webサイトを追加する。追加したWebサイトは[(サーバ名)]-[Webサイト]以下に加わり、[既定のWebサイト]と同様にプロパティを変更できる。
なお、こうして追加したWebサイトをツリー画面で選択した状態で、[操作]メニューまたは右クリックメニューを使って削除を指示できる。Webサイトを削除しても、対応するコンテンツフォルダは自動的には消滅しないので、削除する必要があれば別途手作業で行う。これは、この後で解説するIIS 7.xの場合も同様だ。
IIS 7.x編
次に、IIS 7.xでWebサイトを追加する際の手順について解説する。
(1)追加するWebサイトのためにコンテンツフォルダを用意する。既定のWebサイトが使用する「C:\Inetpub\wwwroot」とは独立したフォルダツリーを用意するほうがよいだろう。
(2)IIS管理ツールを起動する。
(3)左側のツリー画面にある[(コンピュータ名)]-[サイト]を選択して、[操作]-[Webサイトの追加]、あるいは右クリックメニューで[Webサイトの追加]を選択する。
(4)続いて表示するダイアログで、Webサイト名、コンテンツディレクトリ(Webコンテンツを配置するフォルダのパス名)、使用するプロトコル(httpまたはhttps)、IPアドレス、宛先ポート番号、ホスト名などの指定を行う。
(5)[OK]をクリックしてダイアログを閉じると、Webサイトを追加する。