今週はWindows Server 2008から加わった新機能である、プリンタ共有に関連する役割[印刷サービス]について解説する。この役割の追加を行わなくてもプリンタのインストールと共有は可能だが、役割の追加を行うことで利用可能になる機能もある。
役割[印刷サービス]と役割サービスの追加
役割[印刷サービス]以下には複数の役割サービスがあり、これを導入することで以下の機能が利用可能になる。
- MMCスナップイン[印刷の管理] : ローカルプリンタだけでなく、他のサーバが共有しているプリンタをネットワーク経由で遠隔管理できる
- LPR(Line PRinter daemon)経由の印刷
- インターネット印刷(IPP : Internet Printing Protocol)経由の印刷
役割と役割サービスの追加は、以下の手順で行う。
1. [スタート]-[サーバー マネージャ]を選択して、[サーバー マネージャ]を起動する。
2. 左側のツリー画面で[役割]を選択する。
3. 右側の画面で[役割の追加]をクリックする。すると、役割を追加するためのウィザードが起動する。
4. ウィザード2画面目で、[印刷サービス]のチェックをオンにして続行する。
5. 役割サービスの選択画面で、[プリントサーバー][LPDサービス][インターネット印刷]を追加できる。必要な役割サービスについて、チェックボックスをオンにして続行する。
LPRは、Windowsファイル共有に対応していないネットワーク接続型プリンタに出力する際に使用する。WindowsとUNIX系のOSを併用していて、UNIX側でlprを使って共有しているプリンタがある場合にも、この機能が役に立ちそうだ。
一方のIPPは、TCP/IPネットワーク経由で遠隔地のプリンタに出力する場合に利用できる。もっとも、lprと比較すると登場した時期が遅いので、利用できる場面は少ないかも知れない。
つまり、この2種類はプリンタの出力に用いるデバイスを増やすものであり、プリンタをインストールする際の出力先選択に関わってくるものだ。だから、lprやIPPを利用しているプリンタを追加するのであれば、これらの役割サービスを事前に追加しておく必要がある(話の順番が前後してしまって申し訳ないが...)。
なお、lpr経由で出力するときには、プリンタを追加する際に出力先のポートとして[Standard TCP/IP Port]を選択する。さらに、[標準TCP/IPプリンタポートの追加ウィザード]で、出力先プリンタのLANアダプタとして、事前にプリンタに設定しておいたIPアドレスを指定する。
[印刷の管理]管理ツールによる集中管理
残るひとつが、MMCスナップイン[印刷の管理]だ。これを使うと、プリンタのリモート管理が可能になるので、それについて解説する。
MMC.EXEにスナップイン[印刷の管理]を組み込むと、ローカルプリンタとネットワーク経由で接続しているプリンタを、まとめて集中管理できるようになる。このMMCスナップインを利用するには、前述したように[印刷サービス]の役割と、役割サービス[プリントサーバー]を追加する必要がある。
特にこの機能が役立つのは、Server Coreインストールを行ったWindows Server 2008でプリンタを共有している場合だろう。Server Coreではコマンドを使った管理しか行えないからだ。
MMCスナップインの組み込みを行った直後に、管理対象となるプリンタの追加画面を表示する。左側のツリー画面で[印刷の管理]-[プリント サーバー]を選択して[操作]-[サーバーの追加と削除]、あるいは右クリックして[サーバーの追加と削除]を選択したときにも、同じ画面を表示する。
ここでは、[サーバーの追加]にプリンタ共有を行っているサーバのコンピュータ名かIPアドレスを入力して[一覧に追加]をクリックする。
なお、ローカルコンピュータを追加対象にするときには、[ローカルサーバーの追加]をクリックする。
こうして追加したサーバは、左側のツリー画面で[印刷の管理]-[プリント サーバー]以下に現れる仕組みだ。サーバごとにツリーを展開すると、[ドライバ][用紙][ポート][プリンタ]といったサブツリーがあり、何を利用可能な状態になっているかを確認できる。
このうち[ドライバ]を選択して[操作]-[ドライバの追加]、あるいは右クリックして[ドライバの追加]を選択すると、ローカル/リモートの別を問わず、追加ドライバのインストールを行えるようになっている。
こうすることで、ローカルでもリモートでも関係なく、管理下にあるすべてのプリンタを一ヶ所から集中管理できることになる。