今回は、印刷ジョブの管理について取り上げよう。ただし、印刷を指示したユーザーではなく、管理者が印刷の状況を確認して、トラブルが起きていれば対処する、といった場面を想定する。
印刷を指示したユーザー本人についていえば、ローカルプリンタだろうが共有プリンタだろうが、同じ要領で印刷ジョブの状況を確認できるので、ことさらに解説することはない。
実のところ、いったん印刷を始めてから途中で取り消す場面はあまり多くないかも知れないが、それでも皆無とはいえない。特に管理者の立場からすると、印刷中に何かトラブルが発生して、その一方では印刷ジョブが次々に送られてきている、といった場面に遭遇する可能性があるので、やはり止め方は知っておきたい。
印刷ジョブの一覧確認
まず、印刷ジョブ、つまり個々のユーザーがプリンタに送信したデータの状況を確認する方法から解説する。共有プリンタとは、サーバから見ればローカルプリンタと同義だから、特に操作手順が異なるわけではない。
1. コントロールパネル]のプリンタとFAX、あるいはプリンタを実行する。
2. プリンタ一覧で、対象となるプリンタをダブルクリックする。
3. 続いて表示するウィンドウには、その時点でスプールしている印刷ジョブ一覧を表示している。
実は、サーバであればNET PRINTコマンドを使って印刷ジョブを管理することもできる(以前はクライアント用Windowsでもこのコマンドを利用できたが、Windows 7では削除されているようだ)。引数の内容が、ローカルプリンタの場合と、別のコンピュータで共有しているプリンタの場合とで、それぞれ異なる。
- ローカルプリンタの場合 : NET PRINT
- 他のコンピュータに接続した共有プリンタの場合 : NET PRINT \<サーバ名>\<共有名>
印刷ジョブの一時停止・再開
共有プリンタでもローカルプリンタでも、印刷ジョブの一時停止と再開を行う際の手順は同じだ。用紙切れやインク切れ/トナー切れ、あるいはその他のトラブルが発生した際に出番がありそうだ。
1. コントロールパネル]のプリンタとFAX、あるいはプリンタを実行する。
2. プリンタ一覧で、対象となるプリンタをダブルクリックする。
3. 続いて表示するウィンドウで、現在スプールしている印刷ジョブ一覧を確認できる。その中から一時停止させたいジョブを選択して、[ドキュメント]-[一時停止]、あるいは右クリックメニューの[一時停止]を選択すると、当該ジョブの印刷を一時停止する。
4. 一時停止を解除して印刷を再開するには、同じメニューにある[一時停止]のチェックを外す。
NET PRINTコマンドでも、同様の操作を行える。ただしコマンド操作なので、前述の手順で印刷ジョブ一覧を表示してジョブ番号を確認してから、その番号を使って一時停止や再開を指示する、という手順になる。
- 印刷ジョブの一時停止 : NET PRINT <ジョブ番号> /HOLD
- 印刷ジョブの再開 : NET PRINT <ジョブ番号> /RELEASE
共有プリンタの場合、コマンドの内容が以下のように変化する。
- 印刷ジョブの一時停止 : NET PRINT \<サーバ名> <ジョブ番号> /HOLD
- 印刷ジョブの再開 : NET PRINT \<サーバ名> <ジョブ番号> /RELEASE
印刷ジョブの削除
一時停止だけでなく、印刷ジョブの削除も行える。間違って印刷を指示してしまったものを途中で止める場面、あるいは印刷ジョブが溜まっているときにプリンタが何らかの事情で使用不可能になり、印刷ジョブを処理できなくなった、といった場面で必要な操作だ。
ただし、削除してはならない印刷ジョブを間違って削除するとやり直しがきかないので、注意が必要だ。また、いったんプリンタへの出力が始まったものは取り消すことができない。削除できるのはスプール中のジョブだけだ。
1. コントロールパネル]の[プリンタとFAX、あるいはプリンタを実行する。
2. プリンタ一覧で、目的のプリンタをダブルクリックする。
3. 続いて表示するウィンドウで、現在スプールしている印刷ジョブ一覧を確認できます。その中から削除したいジョブで右クリックして、[すべてのドキュメントの取り消し]を選択する。
コマンド編
コマンド操作で一時停止と再開を行うには、前々項の手順で印刷ジョブ一覧を表示させて、ジョブ番号を確認する必要があります。それに続いて、ローカル プリンタの場合、コマンド プロンプトで以下のコマンドを入力する。
NET PRINT <ジョブ番号> /DELETE
他のコンピュータが共有しているリモート プリンタの場合、コマンド プロンプトで以下のコマンドを入力する。
NET PRINT \\<サーバ名> <ジョブ番号> /DELETE