ここまでしばらく、フォルダ共有と、それに関連する機能について取り上げてきた。実際にはまだいろいろあるのだが、いったん目先を変える意味で、先にプリンタ共有の話を取り上げておこう。
といってもWindowsサーバの場合、プリンタの共有に関して難しいことは多くない。デスクトップOSのWindows XP/Vista/7と同じ要領でプリンタのインストールや共有を行える。また、共有したプリンタを利用する際の手順も同じだ。
サーバにおけるプリンタ運用の注意点
単独で動作しているWindows XP/Vista/7にプリンタを利用する場合、プリンタを接続してデバイスドライバをインストールするだけで利用可能になり、特に難しいことはない。
最近は家庭内でもLANの利用が一般化しているから、特定のPCに接続したプリンタを共有して他のPCから利用したり、ネットワークに直結するためのプリントサーバを導入したりしている方も多いだろう。Windowsサーバを導入するのは企業ユーザーが大半と思われるが、その場合でも基本的な考え方は変わらない。
ただし、直接、あるいはプリントサーバを介してネットワークに接続可能なプリンタであっても、Windowsサーバを使って「束ねる」方が良いのではないかと思う。そうすることで、さまざまな共有名を持つネットワークプリンタが乱立する事態を防ぐことができるし、Active Directory環境であればプリンタの存在をActive Directoryに登録して検索性を高めることもできる。
なお、よほど負荷が大きい場合を除いて、プリンタ共有のために専用のサーバを用意する必要はなく、ファイルサーバによる片手間のアルバイトでも十分だ。いずれにしても、プリンタ共有機能を受け持つサーバが事業所ごとに1台あればよいだろう。
プリンタを共有する際の手順
WindowsサーバでもクライアントPC用のWindowsと同様に、USBコネクタに接続したプリンタについては自動的に存在を認識して、デバイスドライバの組み込みを行う。もしもWindowsがデバイスドライバを持っていなければ、メーカーが提供するドライバを入手して組み込む必要がある。
USB以外のインタフェース(パラレル、RS-232C、ネットワーク接続)では、プリンタの機種選択を手作業で行わなければならない場合もあります。その場合でも、接続に使用するポートの指定さえ間違えなければ、自動的に機種を認識してデバイスドライバを組み込んでくれる場合が大半を占めるはずだ。
いずれにしても、プリンタを新規に認識されてインストールする際に、ウィザードの中でプリンタを共有するかどうかを訊かれる仕組みになっている。そこで「共有する」と指示すれば、プリンタのインストールと共有を一度に実現できてしまい、手間いらずだ。
こうして共有したプリンタは、LAN上の他のコンピュータからは「\<サーバ名>\<共有名>」という名前で接続する。共有名の既定値はプリンタの名前を機械的に縮めたものを自動設定するが、それでは往々にして長ったらしくなってしまう。そのため、手作業で共有名を指定する方が良いだろう。
そのときに、機種や所在地が分かるような名前をつけるのも一案だ。つまり、「\<サーバ名>\3F-850i」とすれば、ビルの「3F」にある「850i」というプリンタだな、と見当をつけやすい。
このほか、プリンタを共有する際に、プリンタの場所とコメントを設定することもできる。この設定は必須ではないが、プリンタを検索する際に利用できる利点がある。また、この情報はActive Directoryに共有プリンタを登録する際にも利用するようになっている。
既存のプリンタの共有と共有解除
なお、組み込みの際に共有を指示しなかったプリンタ、あるいは操作ミスや手違いで共有の指示をし損なったプリンタについて、後から共有の指定を行うこともできる。同じ画面で、共有を解除することもできる理屈だ。
すでに非共有の状態で組み込んでいるプリンタを新たに共有する場合の手順は、以下のようになる。
1. コントロールパネル]以下の[プリンタとFAX、あるいはプリンタを実行する。
2. 続いて表示する画面のプリンタ一覧で、共有、あるいは共有解除するプリンタを選択してから、右クリックメニューにあるプリンターのプロパティ、あるいはプロパティを選択する。Windows Server 2008では、[プロパティ]を選択すると共有設定が行えないので、間違わないように注意したい。
3. 続いて表示するダイアログの[共有]タブで、[このプリンターを共有する]チェックボックスをオンにする。さらに、[共有名]で共有名を指定する。逆に[このプリンターを共有する]チェックボックスをオフにすると、共有を解除する操作になる。
4. Active Directoryに参加しているWindowsサーバの場合、[ディレクトリの一覧に表示する]あるいは[ディレクトリに表示する]チェックボックスをオンにして、設定中の共有プリンタに関する情報をActive Directoryに登録することもできる。必須ではないが、共有プリンタをActive Directoryのオブジェクトとして検索対象にできるため、検索性を高められる利点はある。
5. 最後に[OK]をクリックしてダイアログを閉じると、共有、あるいは共有解除を行う。