今週は、先週に紹介した2種類のクォータ機能のうち、ユーザー単位のクォータについて解説する。
ちなみにこの機能、Windowsサーバだけでなく、Windows 2000/XP/Vista/7でもエディションによっては利用可能だが、個人で占有するクライアントPC用のOSでは、クォータを設定する必然性は薄いだろう。
ドライブに対して、ユーザー単位のクォータを設定する
ユーザー単位のクォータは、前回に解説したように、ドライブに対して設定するようになっている。物理的なハードディスクだけでなく論理的なドライブが対象にできるので、1台のサーバでクォータの要否を使い分ける操作は、HDDの複数台設置でも、パーティション分割でも実現できる。
注意しなければならないのは、ユーザー単位のクォータは設定を有効にした後に書き込まれたファイルだけを監視する点だ。つまり、クォータ設定前から存在するファイルは監視の対象にならない。そのことを考慮すると、ファイルサーバにクォータを設定する作業は、運用開始前に行う必要がある、ということになる。
ともあれ、ドライブに対してユーザー単位のクォータを設定する際の手順は以下の通りだ。
1. [スタート]メニューやエクスプローラで[マイコンピュータ]や[コンピュータ]のウィンドウを開く。
2. 表示されているドライブ一覧の中から、クォータを設定するドライブを選択して、[ファイル]-[プロパティ]、あるいは右クリックして[プロパティ]を選択する。
3. 続いて表示するプロパティ画面で[クォータ]タブに移動して、[クォータの管理を有効にする]チェックボックスと[クォータ制現を超過したユーザーのディスク割り当てを拒否する]チェックボックスをオンにする。後者をオフのままにすると、使用量の上限値を超えても書き込みを行える。オンにすると、使用量の上限値を超える書き込みは不可能になる。
4. [ディスク領域を制限する]を選択してから、上限値と警告レベルを指定する。こうすることで、設定した上限値を超えるファイルの書き込みを不可能にできる。また、ディスク使用量が警告レベルに達したユーザーについては、後述する[クォータエントリ]ウィンドウで[警告]表示を行うようになる。
5. [ユーザーがクォータ制限値を越えたらイベントをログに記録する]チェックボックスと、[ユーザーが警告レベルを超えたらイベントをログに記録する]チェックボックスをオンにすると、制限超過の有無をイベントビューアの[システムログ]で確認できる。
まずクォータを有効にしてから、警告値と上限値を設定して、さらにイベントを記録するように設定する |
6. 最後に[OK]をクリックしてダイアログを閉じる。ただし、実際にクォータを機能させるには、さらに対象ユーザーの指定が必要になる。
さらに、監視対象となるユーザーを指定する
ここまでの作業では、クォータ機能が有効になっただけで、誰と誰に対して監視を行うかが決まっていない。そこでさらに、クォータの監視対象になるユーザーをクォータエントリに追加する作業が必要になる。
1. この作業は、前述したものと同じドライブのプロパティ画面で、[クォータ]タブにある[クォータエントリ]をクリックする方法で行う。
2. [クォータエントリ]をクリックすると表示する[クォータエントリ]ウィンドウで、[クォータ]-[新規クォータエントリ]を選択する。
3. 続いて表示するダイアログで、クォータの監視対象にするユーザーアカウントを指定する。ここで指定できるのはユーザーアカウントだけで、グループは対象にできない。そのため、監視対象にするユーザーが多い場合には、手間がかかってしまう難点がある。
4. 続いて、指定したユーザーに対するクォータ設定値の確認ダイアログを表示する。先にドライブに対して設定した値を既定値として提示するが、さらに別の値に変更することもできる。
5. 最後に[OK]をクリックすると、[クォータエントリ]ウィンドウの一覧に、指定したユーザーの情報が加わる。この操作を、監視対象にしたいユーザーすべてについて繰り返す。
[クォータエントリ]ウィンドウで[新規クォータエントリ]を選択して、クォータの設定対象となるユーザーを指定する。続いて表示する画面で、クォータ設定値の確認・変更を行う |
ユーザー単位のクォータにおける注意点
前述のようにグループを対象にできないので、監視対象となるユーザーが多いと、設定作業が大変だ。"行儀の悪い" ユーザーに限定してクォータを設定する方法が考えられるが、前述したようにクォータの設定を行う前に書き込んだファイルは監視対象にならないのが悩ましい。
また、ドメインコントローラではドメインAdministratorsグループ、それ以外はローカルAdministratorsグループが最初から、[クォータエントリ]ウィンドウ一覧に載っており、これは削除できない。