Windows Server 2008 R2のセットアップが完了して、必要な初期設定の変更が完了したら直ちに運用開始、といけば話は簡単だ。しかし実際には、それだけでは話が済まないことも多い。

デスクトップPCほどではないものの、サーバPCでも特定のデバイス、あるいは周辺機器に対応するデバイスドライバを追加しなければならないことがあるし、そもそも、セットアップしたWindowsが問題なく機能しているかどうかも確認しておきたい。そこで、前回に引き続き、セットアップ後にまず行っておきたい作業についてまとめておこう。

イベントビューアで動作状況を確認

Windowsの動作状況に関するログは、独自形式のイベントログに記録される。そのため、それを表示するために「イベントビューア」が用意されている。そのイベントビューアを実行するには、複数の方法がある。

  • [スタート]-[管理ツール]-[イベントビューア]を選択して単体で起動する
  • [スタート]-[管理ツール]-[コンピュータの管理]を選択して、[コンピュータの管理]管理ツールを実行する。ツリー画面で[コンピュータの管理(ローカル)]-[システムツール]-[イベントビューア]を展開すると、イベントビューアが現れる
  • [サーバーマネージャ]のツリー画面で、[診断]-[イベントビューア]以下のツリーを展開する(サーバーマネージャについては、本連載で追って取り上げる予定だ)

イベントビューアには、[システム][アプリケーション][セキュリティ][Setup]と4種類のカテゴリがある。このうち、セットアップ直後の状態で着目する必要があるのは、[システム][アプリケーション][Setup]の3種類だ。

いずれの方法でも、イベントビューアのツリー画面で[Windowsログ]以下のツリーを展開すると、これらのカテゴリが現れる仕組みになっている。そして、ツリー画面で個々のカテゴリをクリックして選択すると、そのカテゴリに属するイベントの一覧を画面中央に表示する仕組みだ。

イベントビューアの画面例

記録するイベントログには、「情報」「警告」「エラー」といった区分があり、この順番でクリティカルになる(だから、「警告」は黄色、「エラー」は赤色のアイコンになっている)。そのため、まずは個々のカテゴリごとに一覧を確認して、「警告」や「エラー」のログが記録されていないかどうかを確認するようにしたい。

Windows Server 2008からイベントビューアの仕様が変わり、画面中央を上下に二分割するようになった。上の一覧で選択したイベントログの内容を下側に表示するため、いちいち別のダイアログを開く必要がなくなっているが、その分だけ画面の解像度を広く確保しないと見辛い難点もある。

「エラー」や「警告」のイベントログが記録されているということは、何らかの問題が発生している可能性を意味することが多い。そのため、そうしたイベントログについては内容を調べて、対策を検討する必要がある。

そこで頼りになるのが、TechNet Onlineで提供している、イベントIDによるサポート技術情報の検索ということになる。マイコミジャーナルの連載記事「TechNetの歩き方」のうち、「21 リニューアルしたTechNet Online」を参照されたい。

デバイスマネージャによるデバイスドライバの追加・更新

使用するサーバのハードウェア構成によっては、Windows Server 2008 R2が標準装備するデバイスドライバだけでは足りず、メーカーが提供するデバイスドライバや設定ユーティリティを追加しなければならないこともある。

クライアントPCの場合と同様、デバイスドライバや設定ユーティリティの追加に際しては、以下のように複数の導入方法があり、製品によって異なる。マニュアルなどを事前に確認して、手順を間違えないように注意したい。

  • デバイスマネージャを使って、デバイスドライバを追加する
  • 専用のセットアッププログラムを使って、デバイスドライバやユーティリティをセットアップする
  • 専用のセットアッププログラムを使って、デバイスドライバやユーティリティをセットアップした後に、さらにデバイスマネージャによる追加作業を行う

いずれにしても、デバイスの認識状況を確認したり、デバイスドライバの追加・更新を行ったりするため、デバイスマネージャは不可欠のツールといえる。そのデバイスマネージャを起動するには、以下の方法がある。

  • [スタート]-[管理ツール]-[コンピュータの管理]を選択して、[コンピュータの管理]管理ツールを実行する。さらにツリー画面で[コンピュータの管理(ローカル)]-[システムツール]-[デバイスマネージャ]を選択する
  • [コントロールパネル]の[システム]を実行する([スタート]メニュー以下の[コンピュータ]で右クリックして、[プロパティ]を選択しても同じ)。さらに左側のタスク一覧で、[システムの詳細設定]をクリックする。続いて表示するダイアログで、[ハードウェア]タブの[デバイスマネージャ]をクリックする
  • [サーバーマネージャ]のツリー画面で、[診断]-[デバイスマネージャ]を選択する

いずれにしても、起動の方法が従来のWindowsと異なったり、あるいは拡張されたりしているだけで、いったんデバイスマネージャを呼び出した後の操作方法に違いはない。従来と同様に、デバイスドライバを組み込んでいないデバイスは「!」、正常に動作していないデバイスは「×」を表示している。

そして、個々のデバイスごとに右クリックメニューを使って、デバイスドライバの更新、デバイスの削除、デバイスの無効化を行える。プロパティ画面の[ドライバ]タブでも同じ操作が可能だ。

Windows Server 2008 R2のデバイスマネージャ。起動の方法に違いはあるが、いったん起動してしまえば従来のWindowsと同じ

右クリックメニュー、あるいはプロパティ画面の[ドライバ]タブで[ドライバの更新]を選択すると、デバイスドライバの追加や更新を行える。デバイスドライバのファイルを自動検出する方法と、手作業で場所を指定する方法を選択できる点も同じだ。

最初にセットアッププログラムを実行して、デバイスドライバのファイルをコピーしておくタイプの周辺機器であれば、自動検出を利用するのが通例だ。しかし、自動検出できない場合には、手作業で場所を指定しなければならない。この辺の要領は、Windows VistaやWindows 7と同じだから難しくないだろう。

デバイスドライバのファイルについては、自動検出する方法に加えて、画面のように場所を手作業で指定する方法も選択できる。このあたりの要領はWindows Vista/7と同様だ

ライセンス認証

設定の変更、デバイスドライバの追加や更新、必要なソフトウェアのセットアップがすべて滞りなく完了して、動作にも問題ないと確認できたら、ライセンス認証を行う。

実は、セットアップの際にプロダクトキーを入力するとともに、[オンラインになったときに、自動的にWindowsのライセンス認証の手続きを行う]チェックボックスをオンのまま続行すれば、自動的にライセンス認証を行ってくれる。しかし、何かトラブルが発生してハードウェア交換なんてことになったときに、ライセンス認証を済ませてしまっていると再認証が面倒だ。そう考えると、必要な環境整備が完了してからライセンス認証を行う方が、危なげがないといえる。

ただし、Windows Updateについてはライセンス認証を済ませて「正規品である」と確認してから行う方が望ましいので、順番としては「セットアップ」→「コンピュータ名とTCP/IP設定の変更」→「その他の設定変更」→「デバイスドライバやソフトウェアの追加・更新」→「ライセンス認証」→「Windows Update」といった順番になるだろう。

ライセンス認証を行うには、[コントロールパネル]の[システム]を使用する([スタート]メニュー以下の[コンピュータ]で右クリックして、[プロパティ]を選択しても同じ)。ライセンス認証を行っていない状態では、画面に[自動ライセンス認証が始まるまで○日です。今すぐ行う場合はここをクリックしてください]を表示している。

それをクリックして、オンラインでのライセンス認証を選択、続いてプロダクトキーの入力、と操作して、ライセンス認証を行うことになる。

その他の作業

なお、初期構成タスクを使って行える作業のうち、これまでに取り上げていないものとして、日付・時刻・タイムゾーンの設定や、自動更新(Windows Update)の設定、リモートデスクトップの有効化、ファイアウォールの設定などがある。設定変更が必要であれば、これらの作業も行う。もちろん、設定変更の必要がなければ省略してよい。

いずれも、実際に呼び出す機能は管理ツール、あるいはコントロールパネルのアプレットなのだが、そこにたどり着くための入口を「初期構成タスク」という形でひとまとめにしてある。