今週は、連絡先の追加について取り上げよう。連絡先は、NTドメインには存在しない、Active Directoryに固有のオブジェクトだ。ユーザーアカウントと違ってログオンに使用することはできず、それゆえにアクセス権設定の対象にもならない。用途は、Active Directoryに対応した電子メールソフトが、メール送信の宛先として使用することだ。

ログオンに使用しないため、パスワードの設定は行わない。また、設定可能なプロパティの項目はユーザーアカウントと同様のものが多いが、連絡先の方が数が少なくなっている。

連絡先の作成(管理ツール編)

まず、[Active Directoryユーザーとコンピュータ]管理ツールで、ユーザーアカウントを作成する方法について解説する。

  1. [Active Directoryユーザーとコンピュータ]管理ツールを起動する。

  2. 左側のツリー画面で、連絡先を作成する場所(ドメイン、OUまたはコンテナ)を選択する。

  3. [操作]-[新規作成]-[連絡先]、あるいは右クリックして[新規作成]-[連絡先]を選択する。画面右側の一覧表示部で右クリックしてもよい。

  4. 続いて表示するダイアログで、[姓][名][イニシャル][フルネーム][表示名]を指定する。このうち[フルネーム]については、[姓]と[名]を入力してからこの項にカーソルを移動すると、[姓]と[名]を連結して自動生成する。

連絡先の作成では名前の設定しか行わないため、ユーザーアカウントの追加よりもステップが少ない。設定すべき項目も少ない

  1. [次へ]をクリックすると表示する確認画面で[完了]をクリックすると、連絡先を作成する。

連絡先の作成(コマンド編)

続いて、コマンド操作で連絡先を作成する方法について解説する。

連絡先を作成するコマンドは、「dsadd contact」コマンドだ。NTドメインには連絡先そのものがないため、対応するnetコマンドも存在しない。

以下に、さまざまなコマンド実行例を示す。dsadd userコマンドと同様、dsadd contactコマンドでも連絡先の識別名を指定するようになっている。

連絡先「webmaster」を、ドメイン「ad-domain.company.local」内のコンテナ「users」に追加

dsadd contact cn=webmaster,cn=users,dc=ad-domain,dc=company,dc=local

連絡先「webmaster」を、ドメイン「ad-domain.company.local」内のou「tokyo」に追加

dsadd contact cn=webmaster,ou=tokyo,dc=ad-domain,dc=company,dc=local

連絡先はコピーできない

ユーザーアカウントと違って、連絡先は既存のものをコピーして作成することができない。そのため、必ず新規追加の作業を行う必要がある。