今週は、Active Directoryで使用するユーザーアカウント、グループ、コンピュータの命名ルールについて取り上げよう。

名前付けのルールは明快に

ユーザー名、グループ名、コンピュータ名の付け方には、いろいろな方法がある。必ず「こうしなければならない」というルールが決まっているわけではないが、以下の点に配慮して、自分の組織にあった方法を考えておき、行き当たりばったりにならないように注意したい。ルールを決める際に考慮したい原則は、以下の2点だ。

・無理なく重複を避けられるように工夫する
・覚えたり入力したりするのが面倒な、長い名前を避ける

なお、特定の属性を持つユーザー、グループ、コンピュータを識別するために、プレフィックスやサフィックスを付加する方法もある。

ユーザー名の決め方

ある程度の規模を持つ会社であれば、社員ごとに社員番号を割り当てている場合が多いと思われる。それをそのまま利用すると人事管理上は都合がよいが、どの番号が誰に対応しているのかを覚えるのは難しくなる。そのため、個人の名前を利用してユーザー名を生成する場合が多いようだ。

しかし、名字や名前をそのまま使用する方法では、重複が発生しやすい。そのため、人数が少ない組織でなければ使いにくい方法だろう。その点、以下に示したように姓と名前を組み合わせる方法であれば、同姓同名の人がいない限り、重複する可能性は低い。

・姓 + 名前の頭文字(例 : 井上 孝司 → inouek)
・姓 + ハイフン + 名前の頭文字(例 : 井上 孝司 → inoue-k)
・名前の頭文字 + ハイフン + 姓(例 : 井上 孝司 → k-inoue)
・名前 + 姓の頭文字(例 : 井上 孝司 → kojii)
・名前 + ハイフン + 姓の頭文字(例 : 井上 孝司 → koji-i)
・名前と姓を半々ずつ(例 : 井上 孝司 → kojino)

同姓同名の人がいたり、あるいは文字数の関係で重複が発生したりすると、単一のルールでは対応できなくなる。その場合には、上記の中から複数のルールを併用して重複を回避しなければならないだろう。

小さな組織であれば、わざわざルールを決めずに好き勝手に付ける方法、あるいはあだ名を使う方法も考えられるが、社員番号の場合と同じで、ユーザー名と本人の対応関係を覚えるのは面倒になる。

グループ名の決め方

グループ名はユーザー名と違って、短く収める必然性は薄い。一般的には部署を単位にして作成する場合が多いと思われるので、組織名を利用するのが無難だろう。ただし、コマンドライン操作における入力のしやすさを考慮すると、漢字などのダブルバイト文字は避けて、英語表記(またはローマ字表記)にする方が好ましい。

また、同じ部署で用途ごとに複数のグループを作成する場合、用途が分かるようなプレフィックス、あるいはサフィックスをつけるとよい。たとえば、一時雇いのスタッフを集めたグループであれば、temporarilyの頭文字をとって「t-○○」という名称にする、といった具合だ。

コンピュータ名の決め方

クライアントPCは、ユーザー1名に1台ずつ割り当てる場合が多いだろう。ただし、1名で複数のコンピュータを利用する場面も考えられるから、もっとも無難なのは「ユーザー名+数字」というパターンだ。ユーザー名が「kojii」なら、「kojii1」「kojii2」といった具合になる。

サーバについては、固定的なユーザーがいるわけではないので、ユーザー名を利用するのは難しい。サーバを割り当てた部署の名前を利用して命名する方法や、何かのテーマに基づいて好き勝手な命名を行う方法が考えられる。

まず、部署名の例を示そう。複数のサーバを番号で区別するケースと、用途で区別するケースを考えてみた。

・総務部のサーバ : ADMIN1、ADMIN2 (複数台ある時に数字で区別)
・研究開発部門のサーバ : RAD-FS(Researcn and Development + ファイルサーバ)、RAD-DB(同、Database)

一方、何かのテーマに基づいて自由に命名する方法は、広く用いられている。筆者の自宅ではサーバもクライアントPCもギリシア神話の神名を使用しているが、これ以外にも地名、宝石の名前、アニメの登場人物、軍艦の名前など、担当者の趣味で(?)いろいろと面白い命名を行っているケースがある。