AIの活用は、企業において業務を大きく効率化できる可能性を秘めている。例えば、「書類に記載されているデータを目視で確認し、Excelに手入力する」といった業務は、AI-OCRで自動化が可能だ。
もっとも、ただ導入すれば良いというわけではない。AI-OCR活用を成功に導くには、ポイントを絞って製品を選び、しっかりと計画を立てて導入する必要がある。
9月8日に開催された「UiPath AI EXPO 3.0」に、AI-OCR「DX Suite」を提供するAI insideの河瀬平雅氏が登壇。AI-OCR導入のポイントについて語った。
雑な書き方の文字でも正確に読み取れるAI-OCR
AI insideは「世界中の人・物にAIを届け豊かな未来社会に貢献する」をミッションに掲げ、ビジネスだけでなく日常生活においても誰もが特別な意識をすることなくAIを活用できる社会を目指しているという。
そんな同社が提供するソリューションの1つが、AI-OCRのDX Suiteだ。OCRとは文字認識システムのことで、同社はこのOCRをオンプレミスとクラウドの両方で提供している。特徴的なのが、きれいな文字でなくても読み取れるということだ。例えば狭い枠内に2行で書かれた住所や、欄外にはみ出した数字の一部、訂正印を押した箇所や黒丸で塗りつぶされた文字、二重線や三重線で消されたテキストなど、人なら認識できるがシステムで読み取るのは難しい文字表現を正確に読み取れるのだという。
こういった「雑な書き方」をしたことや、されたことは、誰もが一度は経験があるだろう。人同士であれば、多少雑な書き方をしても脳が補完するため正しく認識できるが、ソフトウエアではそうはいかない。「1行で書くべき欄」に2行で文字が書かれているだけで、読み取りがうまくいかなくなる。便利なイメージが先行しがちだが、ソフトウエアとは本来、そういうものなのだ。
AIがもたらした革新は、ソフトウエアに”融通が効く”能力を与えたことである。例えばDX Suiteでは、フォーマットの定形・非定形に関わらず文字を正確に読み取り、その文字列が「電話番号」なのか「住所」なのか「会社名」なのかまで判断する。もちろん、読み取った文字が100%正確であるとは限らないので、重要な書類についてはダブルチェックが必要かもしれないが、少なくとも人が目で見た文字列を打ち込むといった作業が省略できる恩恵は大きいだろう。