不確実性の高い時代の今、コロナ禍の影響も相まって、ワークスタイルへの意識が変わった方も多いのではないでしょうか。
その中でも、最近注目を集めているのが1つのキャリアにこだわらない「パラレルキャリア」という働き方です。しかし、始めたい! と思いつつも本業との兼ね合いや自身のスキル不足を懸念して、なかなか一歩を踏み出せない人も多いはず。
本連載では、先駆者たちにパラレルキャリアを始めたきっかけや苦労した点、それでも実践する理由などを伺い、”人生を豊かに楽しむための働き方”を考えるヒントをお届けします。
今回、お話を伺ったのは”ちょまど”の愛称で知られる千代田まどか氏です。「エンジニア 兼 漫画家」という異色の肩書を持ち、最近ではネット番組でコメンテーターなども務めているちょまど氏。パラレルキャリアを歩むことになった経緯や、どんな想いを持って活動されているのか、伺ってきました。
Profile
千代田まどか(ちょまど)氏
某大手外資系IT企業のインターナショナルチームで、会社と社外エンジニアの橋渡しをするCloud Advocate として勤務。文系出身エンジニア兼漫画家であり、2020年にはiU (情報経営イノベーション専門職大学) の客員教授にも就任。Twitter (@chomado) のフォロワー数は8万人を超える。
2019年、書籍『マンガでわかる外国人との働き方』(発行:秀和システム)をロッシェル・カップ氏との共著にて刊行。新卒でSlerにSEとして入社した会社を、プログラミングがやりたくて3か月で辞めて今に至る。
文系コンプレックスに苦しみながらも、魂は二次元に
――今ではいろんなジャンルでご活躍されていますが、キャリアのスタートについて教えていただけますか?
今は外資系IT企業にいるんですけど、大学では英文科で聖書やシェイクスピアを読む、いわゆる “文系”でした。でも在学中にプログラミングに目覚めて、エンジニアを目指すようになりました。
――そんな”文系”のちょまどさんが、プログラミングに目覚めたきっかけは何ですか?
もともとオタクで、好きなアニメのキャラクターの絵を描いていたんですけど、ペンで色を塗るのに紙代もペン代も高くて……。例えば1本数百円するコピックも肌色だけで最低でも3色は使いたいし、全体では最低20~30色は欲しいし、ほかにもペン入れ用の丸ペンGペンやインク、ホワイト、そしてたくさんの種類のトーンなどがあるので、揃えるのにかなりお金がかかっていたんです。数万円がカジュアルに飛んでいく。特に学生にはとんでもない額です。でも、大学の入学祝いでPCとペンタブを買ってもらい、そこで初めて”デジタルの絵”に触れて「ペンも色も紙もトーンも無限だ!! 」と感動して絵を描きまくっていました。
そこから次第に「ほかの人にも絵を見てもらいたい! 」と思うようになり、個人サイトを作るために勉強したのがきっかけです。
「私はいわゆる腐女子なんですが、当時の腐女子カルチャーでは自分が描いた絵をオープンにできなかったんです。だから個人サイトが必要でした。検索に引っかからないようにSEOについても勉強していましたね(笑)。今はかなりオープンですけどね ! 」 |
――独学で勉強されていたんですか?
独学です! ネットで検索したり、本を読んだりしていましたね。超大変でした。 本やサイトを読んでもわからないことだらけで、例えば「”コンパイル”って何? 」という感じで……。もともと数学ができなくて情報科に落ち、文系に来たので文系コンプレックスもひどくて、「もし情報学科に行けていたらこういう基礎的なことは先生から教われたのになぁ……独学は孤独だしわからないことだらけだしつらい……私が情報科落ちたから……」なんて思ってしまっていましたね。苦しかった時代です。
――そんな苦しい思いをしていてもモチベーションを保てたのはなぜですか?
私の魂は二次元にあって(笑)。私の生活や実体はずっと”インターネットのなか”にいたので、ホームページが本当に私にとっての正しく”home”でした。だから、ほかの誰よりも自分のサイトをおしゃれにしたい! と思って頑張っていたところもあります。住環境を良くしたかったんですね(笑)。