2021年7月15日に開催された「TECH+ EXPO 2021 Summer for データ活用 イノベーションを創る」の特別講演に、常陽銀行 ダイレクト営業部 次長 丸岡政貴氏が登壇。「常陽銀行における新アプリを基点としたDXへの挑戦」と題して、常陽銀行が新たにリリースしたスマホアプリを中心とした同行のデータ活用とDXの取り組み事例を紹介した。
全国第2位の地銀フィナンシャルグループが目指すDXとデータ活用の姿
茨城県水戸市に本店を構え、めぶきフィナンシャルグループを構成する常陽銀行。銀行単体の預金量は地銀64行のうち第5位にあたり、2020年度には地銀フィナンシャルグループとして全国第2位となる総資産22兆円の金融グループに成長している(2021年3月末時点)。
常陽銀行では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を「デジタル技術によって、持続的成長が可能なビジネス構造へと変革・変容し、顧客に対して新たな価値や満足を提供できるようにすること。『常時オンライン化』した社会の中で、心地よい顧客体験を提供すること」と定義。それに向けてデータ活用の取り組みを推進している。
「データ活用は3つのステップに分けて説明しています。料理にたとえると、ステップ1は料理に必要な『材料の確保』です。データの量、種類をそろえ、入手ルートを確立し、鮮度のよい材料を鮮度のよいうちに使えるようにします。ステップ2は材料を『調理する』です。材料を加工、組み合わせられる形にし、レシピやコツ、経験を身につけます。器具の整備や人材確保も重要です。ステップ3は調理された料理を『提供する』です。どんなにおいしくても満腹なお客さまや嫌いな食べ物があるお客さまには食べてもらえません。タイミング、”個客”ごとの嗜好に応じた対応、見た目や価格などのマーケティング設計も必要です」(丸岡氏)
講演では、このうちのステップ1の取り組みについて、常陽銀行の新アプリ開発の取り組みを紹介した。丸岡氏は、銀行ビジネスの現状課題について、こう述べる。
「店頭で行われている取引は入出金や振込みなどの単純取引が主であり、受付後も後方事務に忙殺されているのが現状です。ビジネスの源泉である金融のプロとしての相談対応や提案、お客さまとの会話が広がるような取引にかける時間が作れないことが課題でした」(丸岡氏)
そこで取り組んだのが、アプリを銀行取引のメインチャネルにすることだ。