ガートナー ジャパンは7月12、13日、年次カンファレンス「ガートナー データ&アナリティクス サミット」をオンラインにて開催した。

本稿では、「ビジネス戦略と成果」のトラックから、ガートナー ディスティングイッシュト バイス プレジデント/アナリスト フランク・バウテンダイク(Frank Buytendijk)氏が登壇した講演「未来のデータとアナリティクス:2025年に向けた意思決定のリエンジニアリング」の模様をレポートする。

複雑化する意思決定

登壇したバウテンダイク氏は、ガートナーが2020年11月に行った意思決定に関する調査結果を示し、「65%が『2年前に比べて意思決定が複雑になった』と回答している」と説明する。複雑化の原因は、主に「人々の判断が互いに影響をもたらし合っていること」や、「判断が特定の状況に依存するようになっていること」、「意思決定のプロセスが連続性を帯び、1つの判断がそれぞれ重要性を持った上で一連の意思決定が存在するようになっていること」にあるという。

では、これからの意思決定はどうなっていくのだろうか。

バウテンダイク氏は、「旧来の典型的な意思決定プロセスは現状に即しておらず、もはや有用ではない」と断言した上で、「大胆な見解なので、私の意見に合意する必要がないが、なぜこの結論に至ったかロジックを知ってほしい」と前置きし、次のように語った。

「かねてより、業務上の意思決定は継続的に下されてきましたが、今、その傾向が戦略的意思決定にも見られるようになりました。もはや、戦略的意思決定は時折下される大きな判断ではなく、それぞれがインパクトを持つ一連の小さな判断から形成されるようになっています。業務上意思決定の特性が戦略的意思決定に盛り込まれ、互いに関連するようになったのです」

Frank Buytendijk

ガートナー ディスティングイッシュト バイス プレジデント/アナリスト フランク・バウテンダイク(Frank Buytendijk)氏

戦略的意思決定は市場の状況や、これまでの経緯など、特定の状況に基づいて下されるが、バウテンダイク氏によれば、昨今、業務上の意思決定も状況ベースになりつつあるという。つまり、戦略的意思決定も業務上の意思決定も、”状況的性質”が強まっているというのだ。

それぞれの意思決定タイプが同じ特性を共有するので、どれがどのタイプの意思決定に相当するのかは、分けられるものではない。言い換えれば、「多様な判断が、戦略的/戦術的/業務上の結果を生んでいる」ということだ。

バウテンダイク氏は「今後は、戦略的/戦術的/業務上、といったそれぞれの意思決定の”枠”にとらわれるのではなく、『戦略的/戦術的/業務上の結果を生む意思決定』があると認識するべき。我々はこの意思決定をリエンジニアし、改善していかなければならない」と説いた。