日本IBMは6月10日、オンラインで「ハイブリッドクラウド&AI戦略」に関する説明会を開いた。説明会では先日開催した「IBM Think 2021」において発表された新サービス・機能群の日本における展開について語られた。
ハイブリッドクラウドプラットフォームとAIを活用して変革に貢献
冒頭、日本IBM 専務執行役員 テクノロジー事業本部長の伊藤昇氏は「昨今、IBMが繰り返し言及していることはハイブリッドクラウドプラットフォームとAIを活用して、変革に貢献していくことだ」と述べた。
ハイブリッドクラウドに関しては、ここ数年でパブリッククラウドの登場で利用が加速したものの、企業内のシステムにおいては、すべてをパブリッククラウドに移行することが難しいことから、同社ではハイブリッドクラウドプラットフォームを提供し、支援していくという。
また、AIについては、最近のトレンドとして多くの企業が業務プロセスで活用しているが、さらなる活用領域の拡大に注力し、企業の生産性向上やDXに貢献するとしている。そのため、ハイブリッドクラウドプラットフォームとAIのテクノロジーを顧客に提供するとともに、業界ごとの知見を交えつつ新しいIBMとして貢献していくことを今後の戦略として位置づけている。
同社では、このような戦略のもとインフラストラクチャ、ハイブリッドクラウドプラットフォーム、ハイブリッドクラウドソフトウェア、ハイブリッドクラウドサービスの4層で各種製品・サービスを提供している。
伊藤氏は「ハイブリッドクラウドプラットフォームに属するインフラストラクチャ、アプリケーションのベンダーロックインを解き放つ、オープンなプラットフォームであるRed Hat OpenShiftと同Enterprise Linuxが、すべてのキーとなる」と強調する。
こうした状況を踏まえて同氏は、テクノロジー事業本部が管轄するハイブリッドクラウドソフトウェアに属する「IBMソフトウェア」、インフラストラクチャに属する「IBMクラウド」「IBMシステムズ」に加え、パートナーエコシステムについて説明した。
この1年間における取り組みとして、IBMソフトウェアではIBM Cloud Pakをはじめ、オープンへの対応やサブスクリプションモデルの推進、自動化・予測・モダナイズ・セキュリティの4つの観点でデジタル変革を支援している。
IBMクラウドについては、ユーザーのアプリケーションとIBM Cloud上のサービスがエッジやオンプレミス、IBM Cloud、他社のパブリッククラウドなどで稼働できる「IBM Cloud Satellite」の提供を開始し、各業界向けパブリッククラウドを提供。
IBMシステムに関しては、ハイブリッド環境を迅速に構築できるRed Hat OpenShiftの組み込み、Dynamic Capacity(従量課金体系)の提供、パートナーエコシステムではハイブリッドクラウド構築チームの創設やハイブリッドクラウド環境のコスト負担の支援、SIerとの協業拡大を進めている。
一方で、戦略的に製品ラインアップの強化、買収、提携にも取り組んでおり、セールスフォースやSAP、Workdayなど多くのSaaSパートナーと協業しており、昨年からの1年間における企業買収・戦略的アライアンスは18件に達している。