PwCコンサルティングは5月27日、同社が2021年3月に実施した「2021年DX意識調査 - IT モダナイゼーション編」の結果について解説する記者説明会を開催した。

説明会では、PwCコンサルティング パートナー クラウドトランスフォーメーション リーダー 中山裕之氏、同パートナー Technology Advisory Service リーダーの荒井慎吾氏、同ディレクター 岸洋人氏が登壇。 今、日本企業にITモダナイゼーションが必要な理由を示した上で、調査結果に基づく日本企業の傾向と、これから考えていくべき施策について提言がなされた。

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(写真左から)中山裕之氏、荒井慎吾氏、岸洋人氏

なぜ今、ITモダナイゼーションが必要なのか

PwCコンサルティングが提唱する「ITモダナイゼーション」は、既存のシステムを刷新することだけを指すのではなく、日々加速する環境変化に俊敏かつ柔軟に対応できる状態の整備を意味する。そのため、実現には「IT」「組織/プロセス」「人材」に関する検討が必要であり、同社では「DXの推進において重要な要素に位置付けられる」としている。

そもそも、なぜ日本企業にITモダナイゼーションが必要なのか。最初に登壇したPwCコンサルティング パートナー クラウドトランスフォーメーション リーダー 中山裕之氏は大きく次の3つの理由を挙げる。

まず、企業を取り巻く環境変化のスピードが累乗的に加速していることだ。先を予測することは非常に難しくなっており、変化に素早く対応していくにはこれまでにない俊敏性が求められる。だが、従来型のシステムや組織体制ではその実現が難しい。

2つ目の理由は、クラウドコンピューティングの普及に端を発している。クラウドを活用して多くのユニコーン企業が誕生し、それらの企業がさらに新しい技術を創出する好循環が起きており、「この流れに乗れるかどうかがDX成功の大きなポイント」(中山氏)だからだ。

そして3つ目の理由は、日本企業が抱えるレガシーシステムの複雑化とブラックボックス問題の深刻さにある。これは2018年に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」でも、日本企業のDXにおける最大のネガティブ要因として挙げられており、解消できなければ大きな経済的損失が発生すると指摘されている。

こうしたさまざまな背景からITモダナイゼーションが急務とされるわけだが、では実際に日本企業のITモダナイゼーションはどの程度進んでいるのだろうか。

中山氏に続いて、PwCコンサルティング ディレクターの岸洋人氏から、同社が2021年3月に実施したWeb調査「2021年DX意識調査 - IT モダナイゼーション編」の結果が紹介された。

同調査は、売上500億円以上のITモダナイゼーションに関与している企業/組織の課長レベル以上を対象に実施されたもので、製造/金融/流通業界を中心に、516名から回答を得ている。

調査概要

※ 創業10年以内で企業評価額が10億ドルを超える、未上場企業。