予測型ピープルアナリティクスサービス「アッテル(Attelu)」を展開するアッテル社は5月25日、国内のピープルアナリティクス動向に関するオンライン記者説明会を開催した。
説明会では、登壇したアッテル CEO 塚本鋭氏からHR業界におけるデータを活用した人材採用の最新動向や課題についてデータを交えて解説。”脱。肌感覚人事”を掲げるアッテル社が考える解決策と、さまざまな規模の企業へのサービス導入事例が紹介された。
高まる「採用/配属」の難易度
HR領域において人材データを活用/分析し、意思決定の精度向上や業務の効率化に役立てる「ピープルアナリティクス」。塚本氏は、「GoogleがPeople Analytics部門をつくったことに由来すると言われており、海外では10年、20年にわたって利活用が進んでいる。国内では2015年頃からピープルアナリティクスという言葉をよく耳にするようになってきた」と説明する。
ここ数年は国内でもHR領域のデータ利活用の流れは加速しているが、塚本氏はその一因としてコロナ禍の影響を挙げ、アッテル社が昨年5月と今年1月29日~2月2日に人事/採用担当者300人を対象に実施したインターネット調査の結果を紹介した。
それによると、コロナ禍によって半数以上が採用の難易度が上がったとしており、塚本氏も「オンライン面接が増え、対面式に比べて得られる情報が減ったという声を聞くことが多い」と語る。
加えて、「従業員の最適配置を行うために、データに基づいて客観的に異動・配置したいと思いますか」という質問に6割以上が「はい」と答えていることに対し、「オンラインのコミュニケーションが増えたので、従来型の意思決定方法では采配が難しくなり、『いかに客観的/定量的に行うか』が見直されていることが背景にある」と見解を示した。
データに基づいた採用、組織づくりの課題
では、データに基づいた採用や組織づくりを実践する上で、どのような課題があるのだろうか。
2019年10月にトランス(現・アッテル社)が経営者1000人を対象に実施した調査では、「『面接での見極め』が自分は”平均以上”だと思うか?」という質問に対し、約7割が「思う」と回答したにも関わらず、「実際に『面接の見極め』が正しいか定量的に確認したことがあるか?」という問いに「ある」と答えたのは1割程度という結果が明らかになった。
面接官は「自分の面接の見極めは何となくうまくいっていると思っているが、これが本当に正しいか確認したことはない」というわけだ。
塚本氏は、そのギャップを確認するためにアッテル社が実施している調査を紹介。入社前に面接官が採用候補者に対する評価をA、B、Cで予測し、入社後に実際の活躍度合いをA、B、Cで評価したものと比較すると、ほとんどの企業で予測は6割以上外れているという。
また、退職経験者3000人を対象に「退職理由の本音」を聞いた調査(2019年6月/トランス)の結果から、約4割の人が組織や上司とのミスマッチを理由に挙げていることを提示。これには、あらゆる分野でITの活用が進んでいるにも関わらず、HR領域では面接官が感覚に頼った面接を実施し、その後の結果も確認していないことが影響していると見解を示した。