米Googleは2月17日(現地時間)、教育者を対象としたグローバルオンラインイベント「Learning with Google」を開催し、Google for Educationに関する新サービスと新機能を発表した。これに先立ち、日本のメディア向けにブリーフィングが行われた。
Google for Educationから「Google Workspace for Education」に刷新
冒頭、Google for Education ディレクターのジョン・ヴァンヴァキティス氏は「2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により大きな変化があった。グローバルにおいてGoogle for Educationの利用者(学生、教育者、学校関係者など)は1億7000万人、Chromebookは幼稚園から高校生の授業においてスタンダードなデバイスとして使われ、生徒と教師による課題の作成、配布、採点をペーパーレス化、簡素化するGoogle Classroomの利用者は1億5000万人に達した」と昨年を振り返る。
今回、同社ではGoogle for Educationを「Google Workspace for Education」と新しい名称に変更するほか、これまでの無料版と有料版に加え、新たに2つの有料プランを用意。また、各ドメインごとに100TBのクラウドストレージ容量を提供する共有ストレージモデルを導入するなど大幅に刷新した。
同社では、昨年10月にG Suiteからブランド名をGoogle Workspaceに変更しており、Google Workspace for Educationもこれに倣った形だ。Google Workspaceはチームに役立つコミュニケーション機能を充実させていく方針のため、特に複数人がかかわるというのであれば有効なツールであり、”学生”と”教師”のコミュニケーションという観点からしても親和性は高い。
また、これまでエディションは2つのみだったが、新たに有料プランとして「Google Workspace for Education Standard」と教員用の「Teaching and Learning Upgrade」を提供する。なお、無料版(旧G Suite for Education)は「Google Workspace for Education Fundamentals」、既存の有料版(旧G suite Enterprise for Education)は「Google Workspace for Education Plus」にそれぞれ名称を変更。
新プランのStandardは月額30円/ユーザーとなり、セキュリティツール、データ分析機能を備え、Teaching and Learning Upgradeは同480円/ユーザー、Google Meetにおいてオーナー機能が追加され、全員のミュートや参加者の退場、ドメイン外の参加リクエストの許諾、セッションの終了をはじめとしたコントロールを可能としている。
無料版のEducation Fundamentalsにおいても新機能を追加。今年後半には児童・生徒の活用を一括で可視化でき、クラスの状況を把握できる「Student Engagement Tracking」の公開を予定。また、インターネット環境がなくても課題に取り組むことができるClassroomモバイルアプリがオフライン対応(Androidから順次対応)することに加え、同様に紙の課題のスキャン・編集・提出を行う画像編集機能を改善(同)したものも今年後半に公開を予定している。
日本のGIGAスクール構想に対応するGoogle
一方で、新しい共有ストレージモデルは新規ユーザーは2022年1月、既存ユーザーは同7月に適用を開始し、多くのユーザーを持つ教育機関には要望に応じて追加のストレージを提供する。今年後半には、ストレージの利用・管理状況を把握できるツールの提供を予定。
Chromebookは、これまでのAcer、ASUS、Dell、HP、Lenovo、NECの6社に加え、新たにシャープが「Dynabook Chromebook」を3月に発売を開始するほか、Chrombookの新機能として授業を録画などができる画面記録ツールを3月に公開を予定している。
そして、ヴァンヴァキティス氏は「われわれは世界のすべての人が世界の何でも学べるようにサポートすることが使命だと考えており、学生や教師、教育関係者に対して毎日変わり続ける学校の環境を支援していく。日本には長年にわたりコミットし、昨年には『Google GIGA School Package』を発表している」と昨年3月から提供を開始している、文部科学省が打ち出した「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」に対応したパッケージ製品について言及した。
同サービスはChrome OSを搭載したChromebookと、Google Workspace for Education、運用管理や導入を支援する教員向けの研修プログラム「Kickstart Program」で構成されており、同氏「パッケージは日本の教育委員会において半数以上に採用されており、現在はKickstart Programを何千人もの教師に対して実施している。そのため、今春にはGIGAスクール構想が教育を抜本的に改革できること、また学生の生活を変化・改善することができるものだと感じられるだろう」と、今後の展望を語っていた。