今や、どんなビジネスにおいてもデジタル化は避けられない。さらに2020年はコロナ禍もあり、世の中は急激な変化を求められた。この激動の時代において、企業経営はどうあるべきなのだろうか。
12月3日、4日に開催された「マイナビニュースフォーラム2020 Winter for データ活用」の基調講演では、Appleやマクドナルドといった名だたる企業のV字回復を成し遂げ、現在はゴンチャ ジャパン 代表取締役会長 兼 社長 兼 CEOを務める原田泳幸氏が登壇。デジタル化時代における経営の在り方について語った。
経営において大切なモノは何か
「経営とは何か」――このシンプルだが難解な問いに対して講演冒頭、原田氏は一言で次のように答えた。
「経営とは、ステークホルダーの価値向上です」
では、ここで言うステークホルダーとは何か。それは顧客、社員、株主、取引先、そして社会である。顧客に対しては製品やサービスなどのビジネスで、社員に対しては給与やキャリア成長で、株主に対しては主に配当で、取引先に対しては共にビジネスを成長させることによって、自社の価値を示すことが企業には求められる。
各ステークホルダーの価値向上を成し遂げるための手段は「業績向上」しかないと原田氏は断言する。
一方で、業績の向上にはステークホルダーからの支援が欠かせない。企業が業績を向上させるには、商品を顧客に購入してもらったり、社員に仕事をしてもらったりする必要がある。つまり、ステークホルダーと企業はお互いに支援し合いながら価値を高めていく関係なのだ。
その際に重要なのは「ステークホルダーの価値向上のバランス」だと原田氏は強調する。向上するのがどれか1つのステークホルダーの価値に偏ってしまい、各者の価値のバランスが崩れたとき、企業の経営は傾いてしまうのである。
過去に経営不振に陥った大企業のV字回復を成し遂げてきた原田氏は、当時を振り返りながら企業経営について次のように語る。
「経営で大事なのは基本に戻ること、そして”らしさ”を取り戻すことです。Appleもマクドナルドも”らしさ”を失ったことで業績不振になってしまいました。そして、両社がV字回復できたのは”らしさ”を取り戻したからです」
グローバル化した現代で競合他社に打ち勝つためには、改革と変革を進めることも必要だ。原田氏は「改革とはサバイバルであり、変革とは破壊的創造である」と述べ、大きく「意識」「組織」「コスト構造」「給与制度」「人事制度」「ビジネスモデル」の6つのコンポーネントに分類されると分析する。
重要なのはこれらのコンポーネントの改革と変革を全てシームレスに進めていくことだ。原田氏は「1つ2つやっただけでは、成果は出ない」と断言する。