「所有から利用へ」という動きがあらゆる業界に押し寄せる昨今、トヨタグループと住友グループの各社によるジョイントベンチャー KINTOが2019年1月に立ち上がった。同社は、トヨタやレクサスの新車を月々定額で利用できるサブスクリプションサービスを展開。顧客ニーズを受けて試行錯誤でサービスの改善を続けながら、パートナー企業との提携による新たな取り組みにも挑戦している。

このKINTOで副社長執行役員 CSOを務める本條聡氏が、9月16日に開催されたマイナビニューススペシャルセミナー「Digital Marketing Days Day1:[BtoC] 新時代におけるコンシューマーとの関係構築」に登壇。博報堂買物研究所 所長 山本泰士氏と対談する形式で、KINTOのサービス改善のポイントやその根底にあるサブスクリプションビジネスに対する考え方などを紹介した。

山本泰士氏、本條聡氏

博報堂買物研究所 所長 山本泰士氏(写真左)、KINTO 副社長 執行役員 CSO 本條聡氏(写真右)

顧客ニーズを受けて、スピード感をもってサービス改善に取り組む

俳優の菅田将暉さん、二階堂ふみさん、矢本悠馬さんの3人がクルマについてのトークを繰り広げるKINTOのCMをご覧になったことのある方も多いだろう。2019年はKINTOのサービス内容をメインに紹介するようなCMだったが、2020年からは若者目線の体験価値を押し出すかたちへと方針転換した。

本條氏によると、月々定額でトヨタ・レクサスの新車を利用できる「KINTO ONE」は、サブスクリプションサービスとして始めやすくやめやすい商品をつくろうという方針で開発された。クルマを持つには車両代に加えて、保険料や登録料、メンテナンス費、修理費などが掛かってくるが、こうした費用を全て含んだフルサービスとして全国統一価格で展開しているのがKINTO ONEの特徴だ。

ターゲットの一つは、若年層。頭金が不要であり、任意保険込みなので、特に初めてクルマを持つ場合は負担が少ない。またトヨタブランドでは、3年/5年/7年の契約期間中に割安な手数料でクルマを乗り換えることができるため、結婚や出産、転勤などライフステージの変化に合わせてクルマを選びたい層からも支持されているという。

しかしながら、2019年7月にサービスを全国展開した際、最も大きかった声は「価格が高い」というものだった。そこでラインナップを増やしながらエントリー価格を引き下げ、車種によっては月額3万円台から利用できるようになった。さらに2020年1月からは中古車へもサービス範囲を拡大。「改善を進めながらスピード感をもって対応していくことを心がけている」と、本條氏はKINTOの事業展開の姿勢について語る。

KINTOの事業展開

KINTOのこれまでの事業展開