コロナ禍により一気に普及したものと言えば在宅ワークだ。感染症対策の一つとして急遽、導入せざるを得なかった企業もあるかもしれないが、もともと働き方改革の一環としてリモートワークが推進されてきたこともあり、今後もスタンダードなワークスタイルとして定着していくものと見られている。
一方で、在宅ワークを導入したもののうまくいかず、オフィスワークに戻す企業も少なからずある。その在宅ワークは、なぜうまくいかないのか。そこには思わぬ”落とし穴”があった。
8月4日に開催されたマイナビニューススペシャルセミナー「在宅ワーク成功の手引き - 業績アップに向けた対策とツール」では、HARES CEOにして複業研究家/HRマーケターであり、NPO法人ファザーリングジャパンの理事も務める西村創一朗氏が登壇。在宅ワークを成功させる「リモートトラスト」について講演を行った。
働き方が変われば仕事のコツも変わる
西村氏はリクルートキャリアを経て2015年にHARESを創業。働き方改革の専門家としてメディア出演のほか、政府が主催する研究会にも参画する人物だ。そんな同氏は、新型コロナウイルス感染症の拡大が人々の働き方に与えた影響をどのように見ているのだろうか。
西村氏はまず、「コロナ前後で世の中の働き方が大きく変わった」と語り、「Beforeコロナでは『職場=オフィス』だったが、Withコロナでは『職場=自宅』になっている」と説明する。
「働き方が変われば仕事のコツも変わります。今までのワークスタイルを新しい働き方に持ち込んでもうまくいかないのは当然です」
では、在宅ワークを成功させるにはどうすれば良いのだろうか?
成功の条件を知るためには、まず在宅ワークの特徴を理解しなければならない。西村氏は在宅ワークのメリットとデメリットを次のように整理する。
◆在宅ワークのメリット
- 通勤時間など移動時間が削減できる
- 周りに人がおらず、話しかけられないため集中して仕事ができる
- 空いた時間をプライベートに充てられるので家族との時間ができる
◆在宅ワークのデメリット
- ずっと自宅にいるためオン/オフの切り替えが困難
- インターネットの回線速度が遅かったり、椅子が長時間座るのに適していなかったりと、自宅の仕事環境が悪い
- 集中できる」ことの裏返しでコミュニケーション量が低下する
在宅ワークを成功させるには、上記のデメリットを最小限に抑え、メリットを最大化することがポイントとなる。
そこで西村氏が提唱するのが「リモートトラスト」という考え方だ。リモートトラストとは、対面で会うことなくリモートでのコミュニケーションのみで信頼関係を構築することを指す。
「4月の新卒や中途入社の方が誰とも会わないまま配属され、リモートで完結して仕事を進めていくケースが増えています。いかにリモートで信頼関係を構築できるかが重要です」
西村氏によると、組織内でリモートトラストを実現するには5つのポイントがあるという。