PTCは4月22日、3D CADの新版「Creo 7.0」を発表した。オンラインで開催された記者発表会には米 PTC PTCディビジョナル バイスプレジデント CreoCAD事業担当 ゼネラルマネージャー ブライアン・トンプソン(Brian S. Thompson)氏が登壇。Creo 7.0で盛り込まれた主な新機能について紹介した。
ジェネレーティブデザインへの対応
「ジェネレーティブデザイン」とは、新しい設計アプローチの1つで、設計者が設定した荷重、制約、優先使用材料、製造工程などのシステムデザイン要件を基にコンピュータが形状を自動生成するというもの。米PTCは2018年にジェネレーティブデザイン企業のFrustumを買収しており、Creo 7.0には同社の技術を組み込んだ「Creo Generative Topology Optimization Extension」が搭載された。
これにより、設計者は人工知能(AI)を活用した最適な形状の自動生成が可能となり、製品を市場に投入するまでの期間の短縮や、製品コストの低減などさまざまな効果が期待できるとしている。
「我々が重視しているのは、こうした機能をCreoに密に組み込んで完全に統合していくこと」だとトンプソン氏は語る。加えて、「ある日本企業にも6〜8カ月ほどこの機能を評価/検討してもらっている」と明かした。
リアルタイムシミュレーションの強化
リアルタイムシミュレーション機能としては、以前から解析ソリューションベンダーの米Ansysとの連携により「Creo Simulation Live」が提供されており、熱や構造、固有値のリアルタイム解析が可能となっていたが、これに今回、新たに流体解析機能が加わった。これにより、設計者がより迅速に比較検討を繰り返せるようになるという。
マルチボディ設計への対応
Creo 7.0では、マルチボディ設計に対応し、ジオメトリエンジンが単一部品を構成する複数のジオメトリボリュームをそれぞれ個別のオブジェクトとして管理/可視化/設計できるようになった。これにより、「非常に多くの用途で、設計効率をアップできる」(トンプソン氏)という。
付加製造/除去製造を考慮した設計への対応
Creo 7.0では、付加製造を考慮した設計への対応として部品設計のストキャスティック・ラティスやユーザー定義ラティスが改善されたほか、独Additiveworksのプロセスシミュレーションソフトウエア「Amphyon」と連携するAPIが追加された。これにより、金属部品の場合、変形前のジオメトリを計算してプリント可能かどうかを確認することができるという。
また、除去製造に関してはスイス型旋盤をミーリング・旋盤ワークセンターの定義に追加することでスイス型旋盤シーケンスを示すカスタムコマンドを不要にしたほか、同期化を可視化し、操作性向上が図られた。
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最後にトンプソン氏は、昨今世界的に問題となっている新型コロナウイルスの感染拡大にも触れ、「社内のネットワークに直接アクセスできない環境での使用にも柔軟に対応していくために、さまざまな取り組みをしている」と説明。ユーザーの状況に応じて柔軟に対応するほか、インストラクターによる無償オンライントレーニングやEラーニングの提供などにより、製造業を支援していくと強調した。