全体設定項目を使ってカスタマイズしよう
Windows Terminalの設定はWindows Terminal全体へのものと、Windows Terminal上で動作する各シェルごとのカラー設定、バックグラウンド設定、ショートカットキー設定の4つの項目に分かれている。本連載ではこれまで、後者にあたる各シェルごとの設定を紹介してきた。
それらを踏まえて今回は、Windows Terminal全体に関係する設定項目を紹介したい。執筆時現在の最新バージョン(v 0.9.433.0)時点で設定できる全体項目は次のようになっている。
項目 | 必須 | 初期値 | 内容 |
---|---|---|---|
alwaysShowTabs | ○ | true | 常にタブUIを表示 |
copyOnSelect | false | 文字列選択時にクリップボードに自動でコピー | |
defaultProfile | ○ | PowerShellのguid | デフォルトプロファイルを指定(profiles内のguid) |
initialCols | ○ | 120 | 起動時のウインドウサイズの幅 |
initialPosition | , | 起動時のウインドウの場所 | |
initialRows | ○ | 30 | 起動時のウインドウサイズの高さ |
launchMode | default | 起動時のウインドウの最大化、”default”か”maximized”を設定 | |
rowsToScroll | system | マウスホイールでスクロールする時の行数 | |
requestedTheme | ○ | system | テーマの設定、”light”か”dark”か”system”を設定 |
showTerminalTitleInTitlebar | ○ | true | ターミナルタイトルをタブバーに表示する |
showTabsInTitlebar | true | タイトルバー内にタブを表示する | |
snapToGridOnResize | false | ウインドウリサイズ時の動き | |
tabWidthMode | equal | タブバーのタイトル幅 | |
wordDelimiters | 設定ファイルを参照 | ダブルクリックで文字選択する際の区切り文字 | |
confirmCloseTabls | true | 終了時に複数タブが開いている場合に確認画面を表示 |
Windows Terminal全体に関係する設定項目のうち、いくつかの項目はすでにdefaults.jsonでデフォルト設定されている。必須となっている項目もdefaults.jsonで定義されており、削除できないようになっている。
全体設定項目のサンプル(Windows Terminal v 0.9時点)
Windows Terminal全体に影響する設定項目をprofiles.jsonに定義してみよう。全体設定項目はprofiles.json内の最初に記載されている「{」と最終行にある「}」の間に記述する。なお各シェルごとの設定用のprofiles:[]やカラー設定用のschemes:[]、ショートカットキー用のkeybindings:[]以外の場所であればどこに書き込んでもかまわないが、ここではわかりやすくporfiles:[]の前に記述している。
設定を変更する可能性が一番高いのは「”defaultProfile”」ではないかと思う。この設定は起動時の標準のシェルを指定する項目で、ウインドウバーにある「+」アイコンやショートカットキーによる新規タブ、ショートカットキーによる新規ペインの作成の際に起動するシェルを設定する項目でもある。
defaultProfileにprofiles:[]でシェルに設定されているGUIDの値を指定する。標準ではPowerShellのGUIDが設定されているはずだ。例えば、次のようにWSL環境のUbuntuに設定されているGUIDをdefaultProfileに設定して保存してみる。
Windows Terminalを再起動させると、標準で立ち上がるシェルがUbuntuに変わる。また、新規タブや新規ペインを作成した際にもUbuntuが立ち上がるはずだ。細かな部分として、プルダウンメニューを表示させた際、標準のシェルの名前が太字になっているのだが、それがPowerShellからUbuntuに変わっていることでも設定変更が有効になっていることがわかる。
全体設定項目には、ウインドウやタブ周りに関係した設定が多く用意されている。例えば「”requestedTheme”」ではウインドウバーのテーマを設定できる。標準ではsystemとなっており、Windowsの設定にある個人用設定の色の設定と同じ色を使うように設定されている。Windows側の色の設定を白にしている場合、次のように「”dark”」に設定するとウインドウの枠が黒へと変わる。
起動時のウインドウのサイズを変えたい場合は、「”intialCols”」と「”initialRows”」を設定する。initialColsがウインドウの幅サイズ、initialRowsがウインドウの縦サイズの設定項目で、標準では幅120、縦30となっている。例えばこの値を次のように縦85、横20に変更して保存し、再起動するとウインドウサイズが小さくなるはずだ。
起動時にウインドウをデスクトップ画面最大に描画させたい場合は「”launchmode”」の値に「maxmized」を指定する。また、起動時にデスクトップ画面上のどこに起動するかの設定には、次のように「”initalPosition”」を利用する。値には、デスクトップ画面の左上角からの距離を指定する。
「”showTabsInTitlebar”」を次のように「false」に設定することで、タブバーとタイトルバーを分けて表示できるようになる。
この状態でさらに「”alwaysShowTabs”」を次のように「false」に設定すると、起動時やタブが1つもない状態だと、タブバーが表示されなくなる。
showTabsInTitlebarとalwaysShowTablsを「false」に設定した場合、タブがないとプルダウンメニューや新規タブ用のアイコンも消えてしまうため注意が必要だ。新規にタブを作成すれば表示されるようになるので、ショートカットキー(標準では「Ctrl」+「Shift」+「T」)をタイプすればいい。またはプルダウンメニューを表示するショートカットキー(標準では「Ctrl」+「Shift」+「Space」)などを利用してもいい。
全体設定はWindows Terminalの入り口のカスタマイズ
Windows Terminalの全体設定項目は、主に起動時の挙動やウインドウ周りに関するものが多い。特に起動時や新規タブまたはペイン時に動作する標準のシェル設定は、ユーザーにとって重要な設定項目だ。適宜、Windows Terminalの利用環境に合わせて設定してみていただきたい。