テキストエディタ「Vim」には実に豊富な機能が用意されている。文字を削除する方法もたくさん用意されているし、繰り返しや範囲選択といったほかの機能と組み合わせることで操作の総数は数限りない。Vimの使い方として、まず今回は「ファイルを開く」「文字を入力する」「文字を削除する」「ファイルへ保存する」「Vimを終了する」という最も基本となる操作方法を取り上げて解説しよう。全くVimを使ったことがないのであれば、この基本操作を繰り返してVimに慣れてみてほしい。

Vimの起動

Vimを起動するには、「vi」または「vim」というコマンドを実行する。どちらの名前で利用できるかはディストリビューションごとに違う。例えば、Ubuntu 18.04 LTSであれば「vi」だ。一方、明示的にVimをインストールした場合には、「vim」というコマンドになっていると思う。

引数にはファイルのパスを指定する。まだ存在しないファイルのパスを指定した場合、そのファイルを新規作成することになる。

●Vimの起動方法(コマンド名がviのとき)

vi ファイルのパス

●Vimの起動方法(コマンド名がvimのとき)

vim ファイルのパス

Vimの起動サンプル

Vimが起動すると、指定したファイルを開いた状態で次のように表示される。

指定したファイルを編集する状態になったVim

ファイルパスを引数に指定しないでVimを起動した場合、Vimのコマンドを使ってファイルを読み込んだり、新規作成したりすることになる。そうした使い方もできるのだが、まずはファイルパスを指定してVimを起動する方法を覚えてしまおう。この方法を覚えておけば、Vimからファイルを読み込んだり書き込み指定したりする必要がなく、操作が簡単だ。

文字列の入力

起動直後の状態では、Vimは文字列を入力することができないので、入力可能な状態にする必要がある。その手段はいくつも用意されているのだが、まずは最も基本となる「i」と入力する方法を覚えていただきたい。次のスクリーンショットは、「i」と入力した後の状態だ。一番下のステータスバーに「— 挿入 —」という表示が出ていることに注目してほしい。

「i」を押して文字列を入力可能な状態にする

ステータスバーに「— 挿入 —」という表示が出ている間は、次のように文字列を入力することができる。

ステータスバーに「— 挿入 —」という表示があるときには文字列を入力することができる

入力が完了した状態

文字列を入力するのにいちいち「i」と入力することに疑問を感じるかもしれない。これには歴史的な経緯があるのだが、それはさておき要は慣れだ。とりあえず慣れてしまおう。

文字列の削除

文字列の入力においては、必ず入力ミスというものが発生する。入力した文字列を変更したいことだってあるだろう。となると、文字列の削除が必要だ。入力中であれば「BS」キーや「DEL」キーを押すことで文字列を削除できる。この辺りの操作は一般的なエディタと同じだ。しかし、それはあまりVim的な操作方法ではない。

まだ文字列が挿入できる状態のVim

Vimでよく使われるのは次の方法だ。まず、「ESC」キーを押す。すると、次のようにステータスバーに表示されていた「— 挿入 —」という表示が消える。

「ESC」キーを押すとステータスバーの「— 挿入 —」という表示が消える

「— 挿入 —」という表示が消えているので、この状態ではもう文字列を入力することはできない。この状態で方向キー(←↑→↓)を使って、削除したい文字の場所へカーソルを移動させる。

削除したい文字へカーソルを移動させる

この状態で小文字の「x」を押すと、カーソル下の文字が削除される。

小文字の「x」でカーソル下の文字を削除

文字を削除する方法は、このほかにもたくさん用意されている。複数の削除方法を覚えておくとテキストの編集作業を高速化することができる。だがまずは「x」を覚えておこう。ここが始まりだ。

ファイルへ保存

ファイルへ保存するには、まず「ESC」キーを押す。

「ESC」キーを押す

次に「:(コロン)」を押す。すると、カーソルがステータスバーの下へ移動する。

:を押す

この状態で「w↩️」と入力する。小文字の「w」だ。これでファイルへ書き込みが行われる。

w↩️でファイルへ書き込み

書き込みが完了するとステータスバーに「ファイル名 行数 文字数 書込み」といった表示が出てくる。

ステータスバーに書き込み済みを示す表示

この操作はVimではよく行う。「ESC:」でステータスバーの場所へカーソルが移動し、「命令↩️」で処理を実行するというものだ。保存操作を通じてこの操作に慣れてもらえればと思う。

Vimの終了

ここまで操作したらVimによるファイルの編集を終了する。操作方法はファイルの保存とよく似ている。まず、ESCキーを押す。

ESCキーを押す

次に「:」を押す。

:を押す

「q↩️」と入力する。これでVimが終了するる。

q↩️でVimを終了

Vimが終了すると次のようにターミナルがシェルに戻ってくる。

Vimが終了されてシェルに処理が戻ってくる

今回取り上げた「入力」「保存」「終了」に関しては、英単語の頭文字がそのまま入力キーになっているので、単語を連想しておくと覚えやすい。それぞれ次の単語の頭文字だと覚えておこう。

文字 単語 内容
i insert 文字列を入力できる状態「— 挿入(insert) —」にする
w write ファイルへデータを書き込む(write)
q quit Vimを終了(quit)する

Vimの習得には練習あるのみ

Vimで高速な編集を可能とするには、さまざまなショートカットキーを覚え、それらを考えなくても使いこなせるようにする必要がある。とにかく繰り返し操作して体に覚え込ませる、これが大切だ。

もちろん、いきなり全てをマスターする必要はない。最もよく使う機能から順次練習して覚えていこう。Vimのスキルは身に付けて損をするものではない。ある程度の努力は必要になるが、その努力にはちゃんと結果が返ってくる。まだVimを使ったことがないのであれば、これを機にVimに取り組んでみていただきたい。