Linuxを運用する場合に必須になってくる操作がファイルの編集だ。最近のLinuxディストリビューションには「nano」と呼ばれるエディタが最初からインストールされていることが多いので、あまりエディタの使い方を覚える気がないのであればそちらを使っておけばよいと思う。一方、ファイルの編集速度を高速化して作業の時短を図りたいということであれば、「Vim」を使いこなせるようになったほうがよいだろう。
Linuxに限らず、UNIX系のOSには「vi」というコマンドがデフォルトのエディタの1つとして用意されていることが多い。実装系はさまざまだが、最近のLinuxディストリビューションであればVimと呼ばれる実装系がviコマンドの実態になっている。例えば、Ubuntu 18.04 LTSでviコマンドを実行するとVimが実行される。
viは操作が難しく、使えるようになるまである程度学習と練習が必要だ。しかし、使い慣れるともう手放すことができないくらい便利なエディタだ。なお、viと表記すると実装系がわからないので、以降は明示的にVimと表記するものとする。
Vimについてはすでに多くの解説が公開されているので本連載ではそこまで深くは掘り下げない。肝となる操作方法や設定方法をかいつまんで取り上げていく。
カラースキーマを設定しよう
早速使い方を取り上げたいところだが、今回は編集作業を覚える前の段階、カラースキーマの設定を行おう。ここではUbuntu 18.04 LTSの利用を前提として処理を説明していく。まず、次のようにコマンドを実行してみてほしい。
vi /etc/logrotate.conf
これにより、/etc/logrotate.confファイルが開かれる。ターミナルアプリケーションの種類にもよるのだが、「Windows Terminal」で実行すると次のようになる。
背景色が黒のターミナルと、Vimのデフォルトのカラースキーマの相性はすごく悪い。ご覧の通り、コメントの青が背景色と同化してしまって視認しにくくなってしまっている。正直、これでは使い物にならない。
とりあえずこの段階でVimを終了させてみよう。ターミナルから「vi /etc/logrotate.conf」とコマンドを実行してエディタVimを起動し、「:q!↩️ 」と入力してVimを終了する。最低限の操作方法として今回これだけは覚えておいてほしい。
:q!↩️
これまで連載で紹介してきたVimのスクリーンショットは、もうちょっと見やすかったはずだ。例えば、VimでPowerlineを有効にしたときのスクリーンショットは次のようになっていた。
これは別途プラグインをインストールし、そちらでカラーテーマを設定したものだ。とはいえ、初めて起動したのにそこまでやるのは荷が重いだろう。実はVimは最初からいくつかのカラーテーマを提供しているので、それを利用すればもう少し視認性を上げることはできる。今回は、その設定をしてしまおう。
カラースキーマ
先ほどと同じようにVimで/etc/logrotate.confファイルを開いて、今度は次のように入力してみてほしい。カラースキーマが「blue」と呼ばれるものに変更され、次のような表示に変わるはずだ。
:colorscheme blue↩️
この「blue」の部分をほかの名前に変えることで、カラースキーマを変更することができる。Ubuntu 18.04 LTSに用意されているVimでは、次のカラースキーマが用意されている。
Ubuntu 18.04 LTSのVimに用意されているカラースキーマ |
---|
blue, darkblue, delek, desert, elflord, evening, industry, koehler, morning, murphy, pablo, peachpuff, ron, shine, slate, torte, zellner |
次にそれぞれのカラースキーマを設定した場合のスクリーンショットを掲載しておく。好みのものを選んでもらえればと思う。エディタは長時間に渡って使うことになるので、視認性が高くて目が疲れないものを選ぶとよいだろう。
どれを選べばよいかわからないのであれば、「desert」「morning」「pablo」「slate」辺りを試してみてほしい。比較的落ち着いた色使いで、かつ、見えにくい色の組み合わせも少なく、視認性もそこそこ確保できているはずだ。
設定ファイル ~/.vimrcに追加
カラースキーマを選択したら、次のようにコマンドを実行してVimの設定ファイルである「~/.vimrc」に設定を追加する。これで「colorscheme slate」という設定(命令)が~/.vimrcファイルの最後に追加される。ファイルが存在していなければ新規作成され、この行のみが記載されたファイルができることになる。
echo 'colorscheme slate' >> ~/.vimrc
~/.vimrcに設定を追加したあとは、自分でその都度カラースキーマを設定しなくても、ファイルを開けば設定したカラースキーマで表示されるようになる。
Vimはデフォルトのままでもかなり多機能なエディタなのだが、使い勝手を良くするには設定ファイルの編集が必須だ。プラグインも使いたくなってくるし、沼のようなエディタである。しかし、手間をかけた分応えてくれるエディタでもあり、この機にぜひ使い始めてもらいたい。