パナソニックは2019年で101年目を迎えた。もともと家電事業で成長してきた同社だが、これからの100年は、機器が生み出すデータやサービスを提供する「コト」売りによって人々の暮らし向上に貢献していくとしている。
そうした「コト」売りの取り組みの1つに、IoT(エッジカメラ)とAI(画像解析)を活用した「Vieureka(ビューレカ)」というプラットフォームの提供がある。同サービスを担当するパナソニック ビジネスイノベーション本部 エッジコンピューティングPFプロジェクト CEO 宮崎秋弘氏は、12月13日に開催された「マイナビニュースフォーラム 2019 Winter for データ活用」のKeynoteに登壇。店舗などにおけるVieurekaの導入事例を紹介するとともに、エコシステム拡大によるIoT×AIの未来について語った。
データは長く使えば使うほど差が現れる
さまざまなテクノロジーの進歩やインターネットの普及により、私たちの暮らしは格段に便利になってきているが、「解決への行動に移らない”微小な問題”は膨大にある」と宮崎氏は指摘する。
「人の行動が生まれるのは、動機と能力、そしてきっかけという3つが掛け合わさったとき。少し面倒だったり、きっかけがなかったり、そもそも問題であることに気づけなかったりする場合などには、解決されないまま残ってしまう小さな問題があります」(宮崎氏)
データはこうした”微小な問題”にこそ、その威力を発揮するという。具体的な数字で考えてみよう。「1%がんばる」または「1%サボる」ことのいずれかを1年間続けると考える。「1%サボる = 前日の0.99倍のパフォーマンスを出すこと」だとすると、0.99の365乗で約0.03。一方、「1%がんばる = 前日の1.01倍のパフォーマンスを出すこと」とすると、1.01の365乗で約37.8となる。
この思考実験の例を基に宮崎氏は「『ま、いっか』で流すと、1年後には3%の能力になってしまうが、より良くしていこうとすると能力が37倍も増加するということ。たった1%でも積み重ねれば大きな差が出る。そして、日々の0.99の習慣を1.01へと変えてくれる存在がデータだと思っている」と語る。データを使うことで、日々の改善の様子が可視化されるというメリットもあるだろう。