Select-Stringコマンドレット
PowerShell 7.0.0-preview5ではSelect-Stringコマンドレットにもちょっとした工夫が取り込まれている。Select-Stringコマンドレットは、UNIX系のコマンドで言えばgrepコマンドに相当する機能で、指定したキーワードを含む行だけを抽出する処理を可能にしてくれる。頻繁にテキストデータを処理するのであれば、Select-Stringコマンドレットを利用する機会も多いだろう。このコマンドレットの使い勝手が良くなることは、作業効率や利便性が向上することを意味している。
以下に、Select-Stringコマンドレットの基本的な使用サンプルを示す。なお、この処理はPowerShell 7.0.0-preview4で実行したものだ。
指定したキーワードを含む行が抽出されていることがわかる。これをPowerShell 7.0.0-preview5で実行すると、次のような結果が得られる。
指定したキーワードを含む行が抽出されているのは同じだが、指定したキーワードが反転色で表示されるようになったことを確認できる。見たとおり、このほうが指定したキーワードがどこに含まれているかがよくわかる。ほかのキーワードを指定してSelect-Stringコマンドレットを実行したサンプルを次に示す。
PowerShell 7.0.0-preview5では、Select-Stringコマンドレットのデフォルトの挙動が変更されたことになる。このためか、逆にキーワードの反転表示を抑制するために「-NoEmphasis」というパラメータが導入された。このパラメータを指定すると次のようにPowerShell 7.0.0-preview4までのSelect-Stringと同じように、特にキーワードを強調表示するようなことはしなくなる。
同じような処理をgrepコマンドで実行すると次のようになる。結果だけを見ると、Select-Stringコマンドレットとよく似ていることがわかる。
UNIX系のコマンドでは、デフォルトの挙動が変わるというのはあまりないように思う(もちろん例外もある)。これまでと異なる挙動をするときには、基本的には新しく追加されるオプションを指定することで変えるというのが伝統的なアプローチだ。grepコマンドの場合、「—color」というオプションが用意されており、このオプションを指定するとPowerShell 7.0.0-preview5のSelect-Stringコマンドレットのように、指定したキーワードに色を着けて表示するようになる。
LinuxやmacOSではPowerShell 7と同時にUNIX系のコマンドも使うことができるので、PowerShell 7のコマンドレットとUNIXコマンドを組み合わせて使うこともできる。現在ではWindows 10にWSLが導入されていることから、次のようにWindows 10でも同じようにgrepコマンドを組み合わせて使うこともできる。
Select-Stringコマンドレットとgrepコマンドは、そもそもコマンドレットとUNIXコマンドという大きな違いがあるが、処理速度という面でも大きな違いがある。grepコマンドの実装はとにかく高速だ。大量のテキストから該当するデータだけを摘出する処理をするなら、Select-Stringコマンドレットよりもgrepコマンドのほうが処理がすぐに完了する。普段はSelect-Stringコマンドレットを使っていればよいと思うが、大量のデータを処理する場合にはgrepコマンドを組み合わせるというのも悪くない方法だ。
前回取り上げたFormat-Hexコマンドレットも今回取り上げたSelect-Stringコマンドレットも変更点としては小さいものだが、ユーザーの利便性が向上する、注目しておきたい変更点だと言える。