見やすくなったFormat-Hex
PowerShellにはデータを16進数でダンプするコマンドレットとして「Format-Hex」が用意されている。このコマンドレットを使うと、パイプラインを流れてくるオブジェクトの中身を16進数で表示できる。データ分析やコマンド開発をしている場合、あるデータがどういった形式のデータとして送られてきているかをチェックしたいことがあるが、そういった場合に利用できるコマンドレットだ。
同様の処理はUNIX系OSにもコマンドとして用意されている。コマンド名やオプションはOSごとに異なるのだが、「hexdump」という名前でインストールされていることが多いように思う。
例えば、hexdumpコマンドにデータを流し込むと、次のように流れてきたデータを16進数でダンプするとともに、ASCII文字として表示できる部分はASCII文字で表示してくれる。実際にどういったデータが流れてきているのか調べたいときに、このコマンドは結構重宝する。
PowerShellのFormat-Hexコマンドレットも基本的にはhexdumpコマンドと同じような使い方となる。次のスクリーンショットはFormat-HexコマンドレットをそれぞれPowerShell 7.0.0-preview4とPowerShell 7.0.0-preview5で実行したものだ。PowerShell 7.0.0-preview5のほうが、出力が多少見やすくなっていることを確認できる。
hexdumpコマンドとFormat-Hexコマンドレットはよく似ている。hexdumpコマンドとFormat-Hexコマンドレットとの最大の違いは、Format-Hexコマンドがパイプラインを流れてくるオブジェクトを個別に処理するということだ。上記サンプルであれば、「Hello World」という文字列と「Konnichiwa」という文字列を、それぞれ別の文字列オブジェクトとして処理していることがわかる。hexdumpコマンドではこうはいかない。UNIX系OSではパイプを流れるのはただのデータであり、オブジェクトではないからだ。
PowerShell 7.0.0-preview4までのFormat-Hexコマンドレットは、パイプラインを流れてくるオブジェクトを個別に処理してはいるものの、どのダンプがどのデータに対応しているのか、一瞥してもよくわからないところがあった。これがPowerShell 7.0.0-preview5では改良されており、オブジェクトの型(クラス)やオフセットも表示されるようになった。おかげで、どのデータがどのタンプかわかりやすくなった。
Format-Hexコマンドレットにもう少し多めのオブジェクトを流し込んだ例を次に示す。オブジェクトごとに型(クラス)が認識されていることや、実際にどんなサイズのデータが流れてきているかよくわかる。
ちょっとした変化ではあるのだが、このFormat-Hexコマンドレットの改善は嬉しい。これは、コミュニティから寄せられた要望に基づく変更だとされている。PowerShell開発をめぐるエコシステムが機能している一例ということになるようだ。
Get-HotFixコマンドレット復活
細かい変更となるが、Windows 10のPowerShell 7.0.0-preview5で再びGet-HotFixコマンドレットが使用できるようになった。Get-HotFixコマンドレットは、Windowsに適用されたパッチを一覧表示するコマンドレットだ。PowreShell Core 6系では使用できなくなっていたが、PowerShell 7.0.0-preview5からもう一度利用できるようになった。もちろん、Windows以外のプラットフォームではこのマンドレットは機能しない。
Get-HotFixコマンドレットはSystem.Managementネームスペースを使用する。しかし、PowerShell Core 6系が使っていた.NET Core 2系にはSystem.Managementネームスペースは存在していない。このため、PowerShell Core 6系ではGet-HotFixコマンドレットが使用できなくなっていた。
しかし、PowerShell 7系は.NET Core 3.0を使うようになっている。.NET Core 3.0にはSystem.Managementネームスペースが再度導入されており、PowerShell 7.0.0-preview5において再びGet-HotFixコマンドレットが使用できるようになった。