2月27日に開催された「RPA・デジタルワークフォースカンファレンス2019」(主催:Blue Prism)では、ビジネスの現場におけるRPA/AI活用の最新事例が多数紹介された。
そのなかから本稿では、昭和リース 営業サポート部門 オペレーション企画管理部 部長 藤本 裕哉氏による講演「完全内製で実現したRPA化への取り組みと効果」の模様をレポートする。
「営業力の強化」に向けた取り組みと体制
昭和リースは、1969年の創業以来、総合リース業を主軸に展開してきた。合併や社名変更などもない安定した歩みを支えるのは強固な営業基盤だ。今回のRPA導入も、対外的な付加価値を高めていくための「営業力の強化」が最終目標である。
これを実現するために、同社はまず、人事面を改革した。従来は、営業所に営業担当者と事務職をペアで配置し、一部の事務作業のみバックオフィスに依頼する仕組みとなっていたのだが、事務職を廃止し、全員総合職に転換。全ての事務作業をバックオフィスに集中させた。
その上で、各営業所ごとのやり方で行われていた事務作業を標準化/平準化し、RPAを導入することで業務の効率化を図ったのである。
RPA製品の選定にあたっては、BluePrismを含む2つの製品のPoCを実施したが、片方は昭和リースで稼働するメインフレームのデータが文字化けして読めなかったのだという。
また、Blue Prismのライセンス体系も同社にとっては都合が良かった。BluePrismのライセンスは「本番環境で同時に実行可能なロボット数」でカウントされる。藤本氏は「当社では、本番環境で同時に稼働するのは最大で5台なので、実際に入れているPCが100台あっても、5ライセンスで問題ない。極めて柔軟で”お得”だと思う」と説明する。
こうしたことから、昭和リースはBluePrismを採用。だが、PoCを実施したとは言え、導入してみて初めてわかったこともある。藤本氏は、経験を踏まえ次のように語る。
「主要な業務システムとの連携はテストしていましたが、メインフレームやブラウザの種類によってもできること/できないことがあり、連携度合いによって『処理スピード』と『動作安定感』に影響があるのでよく確認することが必要です」
導入時の運用体制としては、ロボットの構築/運用を行うオペレーション企画管理部に藤本氏を含め3名、ID管理を行うインフラ・サービス部に1名が、いずれも別部署との兼務で配置された。ライセンス/ハードの管理は、社内常駐のITベンダーから3名がやはり兼務で行うこととした。
「(ロボットの)構築/運用はプログラミング経験のない一般社員が担当しています。パートナー企業が実施する基礎研修を2日分、追加研修を8時間分受けました。導入後は、どういう業務をRPA化するか、実際にどうつくればよいのかという検討を対面で行い、ここで基礎的なことができるようになりました」
その後、ライセンス/ハードの管理を行っていた常駐者1名が、オペレーション企画管理部に専任の担当者として異動。現在は実質1人で運用管理しているイメージだが、「本番環境で稼働するのは最大で5台なので、それで十分という印象」だと藤本氏は語る。