これまではMicrosoft Store経由でUbuntuやSUSE Linux Enterprise Serverなどをインストールする方法を紹介してきた。だが実は、LinuxディストリビューションのインストールはMicrosoft Storeを利用せずとも、コマンドベースで実行できるようになっている。
たくさんのマシンをセットアップする作業を効率化するためにインストール作業をスクリプト化したいとか、Microsoft Storeで提供されていないWindows ServerやLong-Term Servicing (LTSB/LTSC) デスクトップ OS SKUにLinuxをインストールしたいといった場合には、コマンドラインからインストールを実施する必要があるし、コマンドラインからインストールできると何かと楽になるので、今回はこの方法を紹介しよう。
Ubuntu 16.04 LTSをインストールする
今回は、Ubuntu 16.04 LTSをインストールする方法を例に挙げて紹介しよう。まず、PowerShellから次のようにコマンドを実行してインストーラパッケージのダウンロードと登録を実施する。
Invoke-WebRequest -Uri https://aka.ms/wsl-ubuntu-1604 -OutFile ~/Ubuntu.appx -UseBasicParsing
Add-AppxPackage -Path ~/Ubuntu.appx
指定しているURLを変更すれば、ダウンロードするLinuxディストリビューションの種類を変えることができる。例えば、次のようなURLが提供されている(表に挙げたURLが全てではない)。
ディストリビューション | URL |
---|---|
Ubuntu 18.04 | https://aka.ms/wsl-ubuntu-1804 |
Ubuntu 18.04 ARM | https://aka.ms/wsl-ubuntu-1804-arm |
Ubuntu 16.04 | https://aka.ms/wsl-ubuntu-1604 |
Debian GNU/Linux | https://aka.ms/wsl-debian-gnulinux |
Kali Linux | https://aka.ms/wsl-kali-linux |
OpenSUSE | https://aka.ms/wsl-opensuse-42 |
SLES | https://aka.ms/wsl-sles-12 |
また、インストーラパッケージのダウンロードに関しては、2018年春のWindows 10アップデートでWindows 10にも導入されたcurlコマンドを使って実行しても構わない。コマンドの指定方法は以下のようになる。
curl.exe -L -o ~/Ubuntu.appx https://aka.ms/wsl-ubuntu-1604
最後に、次のようにインストールを実行する。
Ubuntu install -root
インストール後はubnuntuと実行してUbuntu 16.04 LTSの実行環境に入り、「sudo apt update」と「sudo apt upgrade」を実行して環境を最新の状態にアップグレードすればよい。インストールが完了した後の使い方は、Microsoft StoreからUbuntuをインストールしたときと変わらない。
便利になるコマンドライン
Windowsのコマンドライン(コマンドプロンプトやPowerShell)はだいぶ便利になってきている。GUIとCUIにはそれぞれ得手不得手があるので、全てをGUIでこなすというのは、それはそれでしんどいシーンが多い。やはりCUIも活用していきたい。
Linuxのインストールをコマンドラインから実施できるというのは、これまでGUIを中心にWindowsを扱ってきたユーザーや管理者にとって斬新な感じがするのではないかと思う。このように、Windowsでもさまざまな操作をCUIベースで実行することができる。慣れればこちらのほうが簡単なはずなので、ぜひ取り組んでみていただきたい。