Microsoftストアに新しく「SUSE Linux Enterprise Server 15」と「openSUSE Leap 15」が登場した。それぞれの最新版だ。openSUSE LeapはOSS(オープンソースソフトウェア)として開発が行われているLinuxディストリビューションで、SUSE Linux Enterprise ServerはopenSUSE Leapを使って開発されたエンタープライズ向けのLinuxディストリビューション。どちらもMicrosoftストア経由でインストールできる。
SUSE Linux Enterprise ServerとopenSUSEは、Windows 10にWSLサポートが追加されてからかなり早い段階で、Microsoftストアに追加されていた。最初に追加されたバージョンは「SUSE Linux Enterprise Server 12」と「openSUSE Leap 42」だったので、今回かなりバージョン番号が変わったことになる。特に、openSUSEのバージョン番号は42から15へと、かなり大きく変更された。
これは、openSUSE Leap側のバージョン番号をSUSE Linux Enterprise Serverに合わせたことに理由がある。これまでのバージョン番号ではどのバージョンのopenSUSE LeapがSUSE Linux Enterprise Serverのベースになっているかがわかりにくかったが、今回から、どのバージョンがベースになっているのかがわかりやすくなったわけだ。
インストールは、Microsoftストアから実施することになる。一番最初の起動のタイミングで、初期化の実施とユーザーの追加を行うためにプロンプトが表示される。後は、表示される内容に従って処理を進めればインストールは完了だ。
WSL (Windows Subsystem for Linux)を利用すると、LinuxバイナリをWindowsカーネルで実行することができる。仮想化機能を使う場合と比べてリソース消費が少なくて済むという利点がある。ただし、現状ではファイルシステムの性能が発揮できないという課題がある。その点については徐々に改善は進められているようだ。
WSLに特化したWLinuxディストリビューション
現在Microsoftストアに登録されているのは、既存のLinuxディストリビューションをWSLに移植したというものだ。これとは趣向が異なり、Windows 10 WSLで動作することを前提としたLinuxディストリビューションとして「WLinux」というものが存在しており、Microsoftストアから購入できるようになっている。
WSLの動作は、仮想環境での動作やベアメタルでの動作とは前提が異なるところがある。つまり、既存のLinuxディストリビューションでは余計な動作もデフォルトで動作してしまっているし、欲しいソフトウェアが最初から用意されていなかったり、欲しい設定が行われていなかったりする。
WLinuxはこうした点を踏まえ、WSLで動作することを前提として設計/開発されているという特徴がある。Windows 10のWSLでLinuxを本格的に使っていきたいというのであれば、1つの選択肢として魅力的だ。
進化するWSLとLinuxディストリビューション
WindowsでLinuxバイナリを動作させる技術が発表されたとき、多くの開発者は驚きを持ってこのニュースを迎えたのではないかと思う。WSLはバイナリ互換を実現するレイヤー技術で、技術の仕組みや考え方は別段新しいものではない。同じような仕組みでLinuxバイナリを実行できるようにしているOSはほかにいくつも存在している。
しかし、世界中で最も多く使われているWindowsというOSで直接Linuxバイナリが実行できるようになったことには、大きな意義がある。これは、世界中のWindows 10がそのまま潜在的なLinuxプラットフォームになったということだからだ。新しいLinuxディストリビューションは追加され続けており、今後の展開も期待できる。WSLの動向からは、ますます目が離せない。