「愛犬家による愛犬のためのペットカメラ」として人気爆発
留守番中の愛犬に話しかけたり、おやつをあげたりできるドッグカメラ(愛犬用ペットカメラ)「Furbo(ファーボ)」が人気だ。2010年秋にクラウドファンディングで販売されると一気に火がつき、世界10カ国でAmazonベストセラーを獲得。2018年夏に実施したAmazonの期間限定セールでは、世界中で10秒で1台以上のペースでの販売を記録した。
人気の秘密は、愛犬と多彩なコミュニケーションが取れることにある。カメラで様子を見ることはもちろん、スピーカーを通して声を聞いたり、話しかけたりできる。世界初の機能として、おやつをあげる機能も備えた。
愛犬が気に入っているおやつを本体内に100個以上入れることができ、タイミングを見計らっておやつがぽ~んと飛び出る。愛犬が吠えたりおやつを待っていたりしたら、それを感知してスマホに通知するといったことも可能だ。Furboの国内販売を手がけるtomofun取締役社長の布施健氏は、Furboが世界中でヒットする理由をこう話す。
「愛犬家による愛犬のためのペットカメラであること。5000人以上の獣医師、ドッグトレーナー、ドッグオーナーの協力の下、ワンちゃんにとって最適な設計がされています。一般的なペットカメラと違って、犬に特化したドッグカメラという独自のジャンルを作り出していると思っています」
特化しているという点では、例えば、本体に備わるランプの色がある。ランプは飼い主がスマホで愛犬を見たり、話しかけたりすると点灯する仕組みだが、色の種類は青色と黄色しかない。これは、犬の目が赤やオレンジといった赤系統の色を認識しにくいためだという。
また、おやつが飛び出すときの音にはトレーナーがしつけに使う際の音を利用する。本体は、犬がかじったりなめたりしても犬に問題が起きないよう素材や形状が工夫されている。こうした「犬ならではの設計」が随所に施されているのだ。
「飼い主の不安を解消し、犬と暮らす安らぎと癒やしを与えたい」
ペットフード協会が毎年行っている「全国犬猫飼育実態調査」によると、2017年の犬の飼育頭数は推計892万頭。同じ調査で猫は952万頭で、国内でのペット人気を犬と猫で二分している状況だ。ただ、2013年からの推移を見ると、猫が横ばい傾向であるのに対し、犬は2013年の1026万頭から減少傾向にあり、飼育意識も少しずつ下がっている。
なぜ、猫に比べて犬の飼育数が下がっているのか。調査では、飼育の阻害要因についても調べている。各世代で共通して挙がっていたのは「十分に世話ができないから」「集合住宅に住んでいて禁止されているから」「お金がかかるから」といった理由だった。
このうち「お金がかかるから」は若い世代に多く、「十分に世話ができないから」は年齢が上がるほど増えていき40代~50代でトップとなる。60代〜70代では「別れがつらい」「最後まで世話をする自信がない」という理由が上位につける。
つまり、犬を飼いたくても飼いにくい事情があるということだ。これは、あわせて調査している「あったらいいと思う飼育サービス」に対する回答からもわかる。そこで幅広い年代層が求めていたのは「旅行中や外出中の世話代行サービス」だった。
ペットと暮らしていると、ペットに留守番をさせたまま、泊りがけの旅行には行きにくくなる。その間の世話をどうするかは、飼い主にとって切実な悩みだ。ときには、外出中にペットがどう過ごしているかが心配だからペットを飼うことをやめるという選択がされることすらある。
「そんな飼い主の課題や不安を解消しながら、犬と暮らす安らぎや癒やしを得られるようにした」のがFurboだ。外出中はもちろん、1〜2日の旅行ならFurboに飼育を頼むことも可能だ。カメラを通して健康状態がわかるし、寂しそうにしていたら声をかけたり、おやつを与えたりできる。そうしたコミュニケーションのなかで、犬も飼い主が「そばにいる」ことを理解するようになるのだという。