モビルス株式会社 代表取締役の石井智宏氏

ペット保険のアニコム損害保険(以下、アニコム損保)が、インシュアテック対応の一環としてLINEのトーク上で保険の手続きが進められる仕組みを構築し、話題を呼んでいる。その裏で活用されているのが、モビルスのチャットボット技術だ。今回は、アニコム損保のLINEの事例を例に、モビルスの取り組みを紹介する。

保険金請求手続きが2週間から約3分に - アニコム損保の事例

モビルスは元々、大手携帯キャリアのアプリを受託開発する企業としてスタートした。その中で、チャット用のサーバを開発。顧客によってやりたいことが違うため、そのチャット機能をSDKとして提供した。約2年前からはコンタクトセンター向けの製品を開発。現在は、コンタクトセンター向けチャットサポートツール「モビエージェント」を主力製品として提供している。

今回のアニコムの事例は、LINEのトーク上でペット保険の見積り/加入申し込み/保険金請求手続きができるもの。例えば、保険金を請求したい場合、診察日や病気の種類などをLINE上で回答し、領収書の写真を添付すれば、約3分で請求が完了するという。以前は、Webにある請求用紙を印刷して、記入した用紙と動物病院の請求書コピーを郵送する必要があり、2週間ほどの期間が必要だった。

LINE画面イメージ

モビルス 代表取締役の石井智宏氏は、「アニコムの事例は、我々の業界がやっているなかでも新しい事例です。保険業界は金融庁管轄であったり、専門性が高かったりして、参入障壁が高い業界です。新しいツールを導入するにも多くのチェックが必要です。それらの申請を乗り越えながら実現できたというのは、大変価値が高い案件になったと思います」と振り返る。

「2018年6月18日から開始をした『LINEで保険加入ができるサービス』は、リリース当日に、LINE経由でさっそく保険加入の申込みがあったそうです。そのなかには、今まで資料請求を2回、Webサイトから申し込みを何度か試みて辞めてしまったユーザーがいたそうです。今まで離脱していたユーザーが手続きの簡略化によって戻ってきた例ですね」とコメントする。