7月4日に開催された「RPA DIGITAL WORLD 2018」のオープンセミナーでは、「RPA先行導入企業がたどりついた”共通の成功メソッド”- RPAを支えるBPMテクノロジーが生産性を最大化する-」と題し、NTTデータイントラマートのエバンジェリスト 久木田浩一氏と、ティアックオンキョーソリューションズ アプリケーションシステム部 副部長 山中正行氏が登壇。本稿では、両氏による講演の内容を紹介する。

NTTデータイントラマートのエバンジェリスト 久木田浩一氏

ティアックオンキョーソリューションズ アプリケーションシステム部 副部長 山中正行氏

3つのフェーズで直面するRPA導入の「課題」

「上場企業2,000社を対象に調査を実施すると、RPA導入を検討していない企業はほぼありません。すでに導入している400社に話に聞くと、生産性の向上に成功した企業は約50%、そのうちの20%はRPAを『稼ぐ領域』で活用しています」(久木田氏)

久木田氏はRPAの現状をそう説明すると共に、RPA市場は確立し、加速を続けていることを強調した。「稼ぐ領域」というのは、RPAによる業務効率化だけに留まらず、RPAを全社展開し、さらにそのノウハウを外販するような取り組みのことを指す。ユーザー企業の情報システムのなかで有名な事例としては、住友林業などが挙げられる。

RPA導入の現状

RPAでは「導入前」「導入後」「スケール(全社展開)時」という大きく3つのフェーズで課題に直面する。導入前はツール選びや適用領域の確認、導入体制などが課題となり、導入直後は、実際の動作確認方法や思ったような効果が得られないこと、ノウハウ面での課題が浮上する。とは言え、最も重要なのは「スケール時の課題をどう乗り越えるか」だという。

「RPAは”スケール力”が重要で、スケール時の課題を解決することがRPA成功のカギです。では、スケール時には何が課題になるのでしょうか。先行導入し、RPAで成功を収めてきた企業の取り組みを整理すると、大きく3つの課題を乗り越えてきたことがわかります」(久木田氏)

その3つとは「ロボ製作を効率化する基盤が欲しい」「ロボと人が連結するハイブリッドな基盤が欲しい」「効率的な管理/監視の基盤が欲しい」だという。

RPAのスケール時の3つの課題

久木田氏は、これら3つの課題の解消方法について、NTTデータイントラマートが提供する基盤を例に挙げながら、具体的な対策を説明していった。

まず、1つ目の「ロボ製作を効率化する基盤が欲しい」だが、ロボ製作では、スケールするとロボシナリオが重複し、製作にムダが発生しがちだ。具体的には、「ロボの部品化と管理」「ロボの起動方法と権限管理」「ロボのエラー対処」などが大きな課題になる。

これを解消するには、RPAを「部品化」し、製作効率の向上を目指す。ここで言う部品化とは、共通の作業をまとめて「部品ロボ」を作ることだ。ただし、その際には部品を連結する技術が必要になる。NTTデータイントラマートが提供する「Logic Designer」を利用すると、こうした部品ロボの作成や、マウス操作で登録済み部品ロボを実行順に配置してつなぐといったことが簡単に行えるという。

ロボのパーツを部品化し統制、管理することが可能

「ロボは『デジタルレイバー』とも言われるように、人と同じように業務プロセスに組み込むことが求められます。BPMの技術を使い、ロボの製作と業務プロセスへの組み込みを容易に実施できるようにします」(久木田氏)

ロボの起動方法や権限管理についても同様だ。例えば、基幹システムにログインするロボを製作する場合に、許可されたロボタスクのみを実行して統制できるようにしたり、権限の管理やロボの実行をモニタリングしたりすることができる。また、作業がエラーで止まってしまっても、例外処理やエラー回避のロジックを組み込むことで、さまざまなトラブルに自動で対応できるようになる。

「単にロボで自動化するだけでなく、大きくスケールさせていく際の管理や統制、エラー対応を考えておくことが重要」(同氏)というわけだ。

ロボのエラー処理をロジックに組み込むことが可能