これまでパスワード管理アプリとしてLastPass、Dashlane、Sticky Password、RoboForm、KeePass、True Keyを取り上げてきた。
これらアプリケーションは、商用プロダクトの無償版でソースコードが非公開となっているか、KeePassのようにオープンソースソフトウェアであるものの機能性重視のプロダクトのいずれかだった。信頼性という面ではオープンソースソフトウェアを使いたいが、KeePassは商用のパスワード管理アプリと比べると使い勝手がよいとは言えない。
今回はこれまで取り上げてきた2種類のパスワード管理アプリの双方の特徴をバランス良く備えた「Bitwarden」を紹介する。
Bitwarden - オープンソースと商用サービスの両立
まず、Bitwardenは提供しているアプリケーションの種類が豊富だ。
Webブラウザエクステンションに加え、デスクトップアプリケーション、モバイルアプリ、Webアプリ、さらにコマンドラインツールまで提供されている。これまでに取り上げてきたどのパスワード管理アプリよりも種類が豊富である。
さらに、Bitwardenではそれらすべてのアプリケーションがオープンソースソフトウェアとして公開されている。そのうえ、UI/UXも商用アプリと同レベルに仕上がっている。
さらにBitwardenは次のように有償のサービスも提供されている。
サービス | 価格 | 内容 |
---|---|---|
個人 フリー | 無償 | 2ユーザ共有、2コレクション、共有アイテム無制限 |
個人 ファミリー | 有償 | 5ユーザ共有、無制限コレクション、無制限共有アイテム、1GBファイルストレージ、セルフホスト機能 |
企業 チーム | 有償 | 無制限ユーザ数、無制限コレクション、無制限共有アイテム、1GBファイルストレージ、優先テクニカルサポート |
企業 エンタープライズ | 有償 | ユーザグループ、ディレクトリ同期、オンプレミスホスト、イベント/監査ログ、MFA機能 |
パスワード管理アプリは複数のデバイス間でデータを共有するという利便性を実現するために、どうしてもネットワークを経由した同期が必要になる。そうなると、どこかに同期用または管理用のアカウントを作成する必要があり、サーバの運用が必須になってくる。
当然ながら運用費用が発生するわけで、長期に渡ってパスワード管理アプリサービスを利用するには、ビジネスが健全な状態で回っている必要がある。サービスの継続性を考えると、サブスクリプションサービスがあるというのは好ましいと言える。
Webブラウザエクステンションのインストール
これまでと同じように、まずWebブラウザエクステンションのインストールから行ってみよう。まず、BitwardenのサイトからWebブラウザエクステンションをインストールする。
エクステンションをインストールすると次のようにBitwardenのアイコンが追加され、ログインするように促される。
利用を開始するにはアカウントを作成する必要があるので、ここで「アカウントの作成」をクリックする。
アカウントの作成が終了すると、そのままログインを求められるので、作成したアカウントデータを入力してログインする
Bitwardenの利用開始までの準備はこれで完了だ。
デスクトップアプリケーションのインストール
Bitwardenのデスクトップアプリケーションもインストールしてみよう。
これまでに紹介してきたパスワード管理アプリには、Webブラウザエクステンションがデスクトップアプリケーションを要求するものもあったが、Bitwardenでは独立して利用できる。デスクトップアプリケーションの方を好むなら、こちらだけの利用でもよいだろう。
デスクトップアプリケーションも起動時にBitwardenアカウントの入力を求められるので、ここで先ほど作成したアカウントを入力してログインする。
Bitwardenデスクトップアプリケーションで提供される機能はWebブラウザエクステンションで提供されている機能とよく似ている。
デスクトップアプリケーションのUI/UXは、比較的最近のトレンドを汲んだもので違和感を感じることはないと思う。
もし迷っているならBitwardenは一考の価値あり
これまでLastPass、Dashlane、Sticky Password、RoboForm、KeePass、True Keyというパスワード管理アプリを取り上げてきた。KeePassは除くとして、ほかの5つはそれぞれに特徴はあると言っても、提供している機能はどれもよく似たものだった。どれにするか迷う読者も多いのではないだろうか。
そんな方はBitwardenを試すとよい。
Bitwardenはとにかくバランスがよい。すべてのソースコードはオープンソースソフトウェアとして公開されており、サブスクリプションサービスも提供されている。アプリケーションは対応プラットフォームが豊富 、UI/UXもモダンで扱いやすい。
オープンソースソフトウェアであるということは、もし仮にサービスが終了したとしても、最悪自分でサービスを引き継ぐことができるし、有力なサービスであれば後釜が登場する可能性も高い。そういった面でもBitwardenは一考の価値がある。