現在のBI/アナリティクス分野では、多くの洗練されたケイパビリティ(能力)が続々と登場している。6月14日~15日にかけて行われた「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2018」では、ガートナー リサーチ ディレクター カーリー・アイディーン氏が「BIとアナリティクスの動向:洞察の自動生成へ」と題した講演で、企業がアナリティクス能力の成熟度を高めるためのフレームワークについて解説した。
ガートナー リサーチ ディレクター カーリー・アイディーン氏 |
成熟度を高めるためのフレームワーク
現在、ガートナーのBI/アナリティクス分野のハイプサイクルには「ビジネスインテリジェンスとアナリティクス」のほか、「データサイエンスと機械学習」「人工知能」の3つがある。そして、3つのハイプサイクルのなかの一つ一つの円が、組織が導入するべきケイパビリティ(能力)に相当する。
ガートナーでは、ケイパビリティの実践方法を「アナリティクスブロック」と呼ぶフレームワークで整理している。アナリティクスブロックのコンポーネントは、「アナリティクス能力」のほか、社内でアナリティクス能力を使う人たちを指す「役割とスキル」、どんなデータがあれば使いこなせるかを示す「データ能力」、結果を得るために必要となることを整理した「プロセスとガバナンス」がある。
問題は、ケイパビリティの数が多すぎて、どこから実践するかがわからなくなることだろう。仮に50のケイパビリティがあったら、50のアナリティクスブロックを検討するというのでは、ユーザー企業にとってあまりにも負担が大きい。
そこで、アイディーン氏は、3つのハイプサイクルに出てくる全てのアナリティクス能力でクラスター分析を行い、4つに再分類したという。こうすれば、ケイパビリティではなく、ドメインごとにアナリティクスブロックを検討できるようになるわけだ。
それぞれのドメインについて、アイディーン氏は次のように解説した。
- 情報ポータル:伝統的なBIであり、信頼性と一貫性のある能力を提供できる。通常はIT部門がビジネス部門をリードする。
- アナリティクスワークベンチ:情報ポータルよりもセルフサービス的なアナリティクス。探索的にインサイトや知見を得る。
- データサイエンスラボ:アナリティクスワークベンチよりも調査的で、高度なモデルやもっと包括的なアナリティクスプロセスを扱う。
- 人工知能ハブ:全てがパフォーマンス中心で、どうやってプロセスを自動化するかに焦点を当てたアナリティクスであり、もっと物事を実行しやすくすることに重きを置く。