ガートナーでは、「企業はデータをほかの資産を扱うのと同様のやり方で管理すべき」という「インフォノミクス」の原則を適用するべきだと主張している。このインフォノミクスを提唱しているのが、ガートナー バイス プレジデント 兼 最上級アナリスト ダグラス・レイニー氏である。
本稿では、6月14日~15日に都内にて開催された「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2018」のために来日したレイニー氏の講演内容から、情報収益化に成功している企業の事例や評価モデルの概要を紹介する。
情報は新しい競争優位の”源泉”
米国企業がデータの重要性に気づいたのは9.11のときだったという。しかし今、大切なデータの損失を防止する手段はあるものの、データを資産として評価する方法はまだ確立されていない。
レイニー氏は、貸借対照表に無形固定資産として計上されなくても、何らかの方法で情報の価値を重視している企業は市場に高く評価されていると話す。例えば、CDO(Chief Data Officer)がいる情報に精通している企業の簿価に対する市場価値はそうでない企業の2倍、情報を収益化している企業の場合は3倍になるといった具合だ。
また、多くの企業が情報から十分な価値を得られていないのは、3つの条件が揃わないからだという。
1つが情報の収益化だ。これは、手持ちの情報から価値を創出し、自社に経済的な利益をもたらすことを指す。もう1つは資産管理の手法を情報にも適用することだ。これは管理会計の手法を使うことが望ましい。最後が価値の測定方法である。測定できないものを管理することはできず、ましてや収益化はできない。「これら3つの条件はつながっている」というのがレイニー氏の主張だ。