2018年4月にUbuntuの長期サポートバージョンとなるUbuntu 18.04 LTSが公開された。多くのユーザーがこのバージョンを使うことになると見られるが、Microsoft StoreにもついにUbuntu 18.04 LTSが登録された。今回はUbuntu 18.04 LTSのインストール方法と、既存のUbuntu 16.04 LTSとの関係を紹介する。
Ubuntu 18.04 LTSインストール
Ubuntu 18.04 LTSのインストール手順はほかのLinuxディストリビューションと同じだ。Microsoft Storeで「Ubuntu 18.04」を検索したら、インストールボタンをクリックしてインストールを実施する。
インストール後に「起動」ボタンをクリックすると、黒いスクリーンのウィンドウが起動してくるので、表示が変わるまでしばらく待つ。この間に必要なファイルを展開する作業が行われる。
作業が終盤になると次のようにユーザー名とパスワードの入力を求められるので、利用するユーザー名とパスワードを入力する。基本的なインストール作業はこれで完了だ。
しかし、インストール後にはアップデートを行っておいたほうがよいので、「sudo apt update」と「sudo apt upgrade」の操作もここで実行しておく。次のように作業が進むことを確認できればよい。
使い方はUbuntu 16.04 LTSのときとそう変わらないので、使い出しで困ることはそれほどないと思う。
Ubuntu 16.04 LTSとの関係は?
執筆時点でMicrosoft StoreからUbuntuを検索すると次のスクリーンショットのように3つのUbuntuを発見できる。「Ubuntu」「Ubuntu 16.04」「Ubuntu 18.04」だ。
それぞれの中身を比較してみると、全く同じではないが「Ubuntu」と「Ubuntu 16.04」はほぼ同じものであることがわかる。「Ubuntu」は最初から存在するアプリケーションで16.04 LTSを継続、「Ubuntu 18.04」が今回新しく追加されたアプリケーションで、Ubuntu 18.04の追加に合わせてわかりやすいように追加されたのが「Ubuntu 16.04」ということになる。
アプリケーション | 内容(執筆時点) |
---|---|
Ubuntu | 20180510.1 build of Ubuntu 16.04 LTS |
Ubuntu 16.04 | 20180510 build of Ubuntu 16.04 LTS |
Ubuntu 18.04 | 20180426 build of Ubuntu 18.04 LTS |
同じUbuntuなのだが、どれも別のアプリケーションとして扱われるので3つ同時にインストールして利用するといったこともできる。次のように起動するコマンドがそれぞれ異なっている。
アプリケーション | 起動コマンド |
---|---|
Ubuntu | bash.exe、ubuntu.exe |
Ubuntu 16.04 | ubuntu1604.exe |
Ubuntu 18.04 | ubuntu1804.exe |
似たような環境が混在することになるわけだが、どれをどうやって使うかは状況に応じて変わってくることになるように思う。例えば、次のような選択ができるんじゃないかと思う。
状況 | お薦め |
---|---|
これからUbuntuを使ってみようと思っている | Ubuntu 18.04をインストールして使う |
これからUbuntu 16.04 LTSを使う必要がある | Ubuntu 16.04をインストールして使う |
これまでWSLのUbuntuを使い込んでいる | Ubuntuをそのまま使い続ける。場合によっては自分で18.04 LTSへアップグレードする |
これまでWSLのUbuntuを使い込んでいるが、再インストールも厭わない | Ubuntu 18.04をインストールして使う |
基本的にはUbuntu 18.04をインストールしてこちらを使うのがよいんじゃないかと思う。しかし、すでにWSLのUbuntuを使い込んでいるならそのまま使い続けてもよいと思うし、コマンドで18.04へアップグレードしてもよいんじゃないかと思う。これからUbuntu 16.04を使うというなら、わかりやすさから今回別途追加された「Ubuntu 16.04」を選ぶのがよいんじゃないかと思う。
さらに使いやすさが向上したWSL
この流れが続くとすれば、Microsoft StoreにはUbuntu 20.04も登録されるだろうし、もしかしたら古いバージョンが新たに追加される可能性もある。複数のバージョンのLinuxを単一のPCに簡単にセットアップできるということになれば、Windows 10はLinux管理者にとってそれだけで価値のあるプラットフォームになったと言える。
実際の運用環境だと複数のバージョンが混在するというのは珍しくない状況だ。検証用に仮想環境に全ての環境を用意しておくとディスク容量や、同時に動かすとなるとプロセッサパワーが心もとないが、WSLであればその辺りのリスクを低く抑えたまま、同時に複数のバージョンを飼っておいたり実行したりすることができる。Windows 10はまた1つLinuxプラットフォームとしての魅力を増やしたと言えそうだ。