米Stripeとジェーシービー(以下、JCB)は5月16日、グローバルでの提携に向けた覚書の締結を発表した。

これにより、国内のStripe導入企業は同日からJCBカードによる決済の取り扱いが可能となるほか、将来的には世界各国のStripe導入企業が現地通貨での支払いを受け付けられるようになるとしている。

米Stripe 最高執行責任者(COO)クレア・ジョンソン氏(写真左)とジェーシービー・インターナショナル代表取締役社長(ジェーシービー常務執行役員)今田公久氏(写真右)

EC市場の拡大に向け、キャッシュレス化を推進

オンライン決済プラットフォーム「Stripe」を提供するStripe社は、2016年に三井住友カードと提携し、日本で本格的なサービス提供を開始。国内EC市場が拡大する今を好機と捉え、積極的にビジネスを展開している(関連記事『EC市場が拡大する今、Stripeは日本をどう捉えるか?』)。

登壇した米Stripe 最高執行責任者(COO)クレア・ジョンソン氏は、「今日、パートナーシップを発表できることを嬉しく思います。Stripeの加盟店は、JCBカードによる決済が可能になります。ここで強調したいのは、グローバルの可能性についてです。この新たな提携により、将来的に世界中の加盟店がJCBを使えるようになります」と説明する。

米Stripe 最高執行責任者(COO)クレア・ジョンソン氏

Stripe社ではインターネットのGDPを増大させることをミッションに掲げ、ECのハードルを下げるべく製品やサービスを展開している。今回の提携もその一環であり、「国内提携の話を進めるなかで、グローバルに展開している両社ならば、もっとできることがあるのではないかと話が広がった」(ストライプジャパン 代表取締役 ダニエル・へフェルナン氏)のだという。

ストライプジャパン 代表取締役 ダニエル・へフェルナン氏

「JCBと提携できて光栄です。これによって、新しい世代のサービスを国内外で展開できるようになります」(クレア氏)

一方、JCBは、唯一の日本発の国際カードブランドとして現在、日本を含む23の国・地域で発行するJCBカードに加え、プリペイドカード、デビットカード、非接触決済を各国・地域の顧客のニーズに合わせて提供し、国内外のキャッシュレス化に取り組んでいる。

経済産業省が2018年4月に発表した「キャッシュレス・ビジョン」によれば、日本のキャッシュレス決済比率は国の家計最終消費支出の約20%となっており、韓国や中国などキャッシュレス化が進む国々が平均40~60%台に達しているなかで遅れをとっている感は否めない。

各国のキャッシュレス決済比率の状況

政府では、キャッシュレス化が進むことで、実店舗の省力化や現金資産の見える化・流動性向上、消費の利便性向上・活性化などが期待できるとし、2027年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることを目指すとしている。

ジェーシービー・インターナショナル代表取締役社長(JCB 常務執行役員)今田公久氏は、こうした現状を説明した上で、世界のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は2018年で約2.8兆USドル、3年後には4.9兆USドルまで成長する見込みであることを示し、「世界的にEC市場はさらなる成長が期待できると考えている」と説明する。

世界のBtoC-EC市場規模の推移

「この度、Stripe社とJCBは、国内外におけるJCBカードによる決済の取扱についてMOU(基本合意書)を締結しました。本日から、日本国内全てのStripe加盟店でJCBカードの利用が可能となります。今後、全世界全ての加盟店でもJCBカードの取り扱いが可能になる予定です。JCBによるカード決済の取扱を国内を含め、全世界で提供するプラットフォームは、このStripe社が初めてとなります」(今田氏)

JCB 常務執行役員 今田公久氏

今後は、Stripeの技術力を生かして、EMV(Europay, MasterCard, VISA protcol)や3Dセキュアなど、最新のセキュリティ技術も取り入れていく予定だという。

「Stripe社は、Webサイトやモバイルアプリ上で簡単にカード決済を導入できるサービスをはじめ、商流の変化に対応したマーケットプレイスやSNS事業者向けの決済サービスも展開しています。提携により、今後さらなる成長が見込まれるEC市場において、幅広くJCB決済の導入を進めてまいります」(今田氏)