Windows 10春のアップデートの提供は遅れていてまだ実施されていない。しかし、その遅延を待つのは十分に価値のあることだ。今回のアップデートではWSL (Windows Subsystem for Linux)とコンソールにたくさんの新機能が追加される見通しになっている。WSLはまだ登場したばかりの機能だから、最初のアップデートにはユーザーが求めるたくさんの必須機能が追加されることになる。そうした機能のなかから、今回はコピー&ペーストとタブコンソールを紹介しようと思う。
WSLコンソール コピー&ペースト機能
WSLコンソールを使っていて最大に不便なことの1つにペースト機能があります。WSLコンソールにテキストを貼り付けようとして「Ctrl+V」を押しても、次のように2回「Ctrl+V」を押したタイミングで「^V」が表示されるだけで、テキストの貼り付けは実施されない。
Microsoftは「Copy and Paste arrives for Linux/WSL Consoles|Windows Command Line Tools For Developers」において、Windows 10 Insider build #17643でWSLコンソールにコピー&ペースト機能が追加されたと伝えた。例えば、現在リリースされているWSLコンソールの設定ダイアログは次のようになっている。
説明によれば、Windows 10 Insider build #17643のWSLコンソールの設定ダイアログは次のようになる。
ご覧のとおり、「Use Ctrl+Shift+C/V as Copy/Paste」というオプションが追加されている。「Ctrl+Shift+C」がコピー、「Ctrl+Shift+V」がペーストだろう。UNIX系のOSでは「Ctrl+V」にすでにほかの機能が割り当てられていることが多いので、それを回避するためにこうしたショートカット設定になっているものと見られる。
WSLコンソールはテキスト入力が主な操作方法となるため、ペーストできないというのはかなりのストレスになる。ファイルの編集やデータの流し込みもできないので、なかなか扱いにくかった。コピー&ペースト機能実装後は、こうしたストレスから解放されることになる。
WSLコンソール タブ機能
WSLコンソールはコマンドプロンプトやPowerShellプロンプトと比べれば、かなり多機能な実装になっている。しかし、Linuxなどで使われているターミナルアプリケーションや、Windowsで動作するサードパーティ製のターミナルアプリケーションと比較すると、その機能はかなり控えめというか、便利な機能が足りない面が否めない。
しかしこれは次のアップデートで解消される見通しだ。Microsoftは次のアップデートに「Sets」と呼ばれるタブ機能を導入する見通しになっており、WSLコンソールでも利用できるようになるとみられている。Microsoftが「Tabbed Console starts here|Windows Command Line Tools For Developers」において取り上げたスクリーンショットによれば、WSLコンソールにもその機能が導入されている。
導入されるタブ機能はおそらくかなり基本的なものになるだろう。次のアップデートで基本的なタブ機能を導入し、さらに先のアップデートでよりアドバンストな機能を導入するといった流れになることが予測される。
まだまだだが、期待が持てる将来
今回紹介したような機能は、すでにほかのコンソールアプリケーションやターミナルアプリケーションには実装されている。それだけWSLコンソールの機能が遅れているというか、実装が進んでいないということになるのだが、少しずつでも進展があるのは良いことだ。
本連載の第111回では、コンソールアプリケーションとして「ConEmu」を紹介した。正直なところ、ConEmuを使えばここで紹介したことはすでに実現できているし、もっと便利な機能がいくつも用意されている。実用性という面で見れば、ConEmuを使ったほうがよい。
しかし、Microsoftがデフォルトで提供するコンソールアプリケーションが多機能になって多くの作業がこなせるようになることは喜ばしいことだ。認められたアプリケーションしか使えない職場もある。MicrosoftのLinux環境はますます便利になりそうだ。しばらく目が離せない状況が続くものと見られる。