2月20日に創設された「ハイブリッドクラウド研究会」。創設間もない現在は、幹事企業が集まり、全体の取り組みや枠組み、各分科会の活動の定義などを行っている段階です。今回は、現在の状況を皆さんにお伝えしたいと思います。
さまざまな”枠”を超えた取り組みとディスカッション
本コミュニティをリードする幹事企業には、現段階ですでに9社が参加しています。(50音順・敬称略)
- アバナード
- インターネットイニシアティブ
- NTTコミュニケーションズ
- 日商エレクトロニクス
- 日本ビジネスシステムズ(主幹事企業)
- 日本ヒューレット・パッカード
- ネットワールド
- 三井情報
- レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
これだけの企業が集まり、その枠を超えたディスカッションが繰り広げられる幹事会は、現時点で大変エキサイティングなものになっています。
さらに、「ハイブリッドクラウド」とひとくちに言ってもさまざまな形態が考えられますし、利用するパブリッククラウドサービスに関しても多種多様なものが存在します。本コミュニティは、事務局としてマイクロソフトの支援を受けてはいますが、だからと言ってマイクロソフト提供のクラウドだけに閉じた議論にはせず、例えばAWSやGCPなどに関しても必要に応じて扱っていくことで合意しました。
また、参加を期待する企業もITベンダーに限らず、ユーザー企業も対象とすることにも合意しています。技術論のみに終始せず、実際の業務に活かせるかたちでのアウトプットに取り組んでいく方針です。自社業務への適用を具体的に考えられるユーザー企業の方にも、ぜひ参加していただきたいと考えています。
クラウドと車の「類似点」
幹事会にてディスカッションをするなかで、IIJの四倉さんから面白いたとえ話を聞かせてもらったので紹介したいと思います。それは、「クラウドの利用の仕方は車の選択と似ている」というものです。
●多数のサービスプロバイダーとサービスがある
車はこれだけコモディティ化していますが、それでも多数のメーカーと車種があります。クラウドも、車ほどの歴史があるわけではありませんが、すでに多くのサービスプロバイダーが存在し、多種多様なサービスがあります。
●どれでも同じ目的を達成できる
車を移動手段とだけ捉えるとどのメーカー、車種でもきちんと目的を達成できます。クラウドも「特定のアプリケーションを動かしたい」「特定の処理を行いたい」ということであれば、さまざまな実現手段のうち、どれを使っても目的を達成できます。
●選択にさまざまな切り口がある
コストや乗り心地、見た目、安全性、パーツへのこだわりなど、車を選択するにあたってはさまざまな切り口があります。同じ車種でも、運転自体を楽しむためにマニュアル車を選ぶこともあれば、楽さを重視してオートマ車を選ぶこともあるでしょう。
クラウドも同様にコストや使い勝手、性能、セキュリティ、サービスの豊富さ、カスタマイズ性など、選択の切り口はさまざまです。自分でオンプレミスにこだわりのプライベートクラウドを作成しても良いですし、IaaSベースで構築して基盤の構成管理を自分で行うことも、PaaSを選択して楽をすることもできます。
●ベストな選択は人それぞれ
車もクラウドも、「誰にとってもベストな正しい選択肢」があるわけではなく、人や組織によって、それぞれの”正しい選択肢”は異なります。
選択するクラウドやハイブリッドクラウドの利用の仕方、選択するサービス、構成するアーキテクチャのどれをとっても「誰がどういう状況でそれを選択するのか」ということをセットで考えなければあまり意味がありません。ユーザーや状況に応じて「最適なかたち」は変化します。
こうした特長を踏まえ、ハイブリッドクラウド研究会の活動は、まずユースケースにフォーカスして事例を集め、幹事企業全体にて議論を深めた上で、それを各分科会で扱うテーマに落とし込んでいくという流れで進んでいます。もう少し煮詰まったところで、本連載でも具体的な情報を発信していければと考えていますので、ぜひご期待ください。
また、ハイブリッドクラウドの話の中心には「Azure Stack」が登場する想定です。前提知識として連載「プライベートクラウド検討者のための Azure Stack入門」を確認しておいていただければと思います。
活動への参加方法
幹事企業となり分科会をリードしたい企業の方は、以下の情報を添えてhccjp★microsoft.com、およびhccjp★jbs.comまでメールでご連絡ください(「★」を「@」に変換してください)。
●部課長クラスの方の担当者名/部署名/連絡先
●この活動をサポートしていただける役員クラスの方の役職・氏名
また、コミュニティに参加を希望する方はConnpass上のハイブリッドクラウド研究会ページよりメンバー登録してください。 本コミュニティの趣旨に賛同される方は、ぜひ参加いただければと思います。
著者紹介
日本ビジネスシステムズ株式会社クラウドアライアンス開発部胡田 昌彦(Ebisuda Masahiko)
Windowsインフラ系を中心に数名から数万人規模までの様々な企業向けシステムの設計、構築、運用に携わる。2014年よりMicrosoft MVP for Windows Expert-IT Pro, System Center and Datacenter Management, Cloud and Datacenter Management を連続受賞中。著書に「Windowsインフラ管理者入門」。3児の父。