設立から5周年を迎えたPivotal ジャパンが3月8日、2018年の事業戦略発表会を開催した。
2018年を「日本市場でデジタル革新が加速する年」と捉え、アジャイル開発推進とインフラ運用効率化の両面から、ビジネスのリーンスタートアップを支援すると説明。初のメジャーアップデートを果たした「Pivotal Cloud Foundry(PCF) 2.0」の概要と併せて紹介した。
アジャイル開発支援サービスでデジタル革新を後押し
Pivotalジャパンが展開する事業は大きく2つ。1つは、クライアントと一緒になって進めていくアジャイル開発支援サービス。もう1つは、OSSベースのクラウドネイティブ基盤 PCFの提供である。
このうち、アジャイル開発支援サービスは、東京都港区の六本木ヒルズにある「Pivotal Labs 東京オフィス」にクライアントを招き、Pivotalのエンジニアが一緒になって開発を進めていくというもの。
ベースとしている開発手法は「エクストリーム・プログラミング(Extreme Programming : XP)」。テスト駆動型開発、ペア・プログラミングを取り入れたうえ、アジャイル工程管理ツールや、パイプライン管理ツール「Concourse」などを使って最大限自動化しながら、アプリケーションの開発業務に集中できる環境を提供している。
2016年 1月に開設したPivotal Labs 東京オフィスだが、すでに12~40週間に及ぶプロジェクトを20件以上実施。当初はインターネット事業などのテクノロジー企業のプロジェクトばかりだったと言うが、現在では銀行、証券、鉄道、自動車、航空など、多様な業種で利用されている。
利用企業のリピート率は70%。同じプロジェクトの次の開発案件や、同じ企業の異なるプロジェクトなどで再度依頼があり、高い評価を受けているという。
2018年は、同サービスを強化し、顧客企業におけるデジタル組織の設立・稼動を支援していくほか、テクノロジー企業におけるエンジニア部隊にアジャイル開発を植え付け、働き方改革を促進していきたい考え。
Kubernetesに対応したPCF、パートナー拡充を図る
一方、PCFは、同社が主導するCloud Foundry Foundationによって開発されているOSS「Cloud Foundry」をベースに製品化したPaaSソフトウェア。Amazon Web Services、Google Cloud Platform、Microsoft Azureといったパブリッククラウドのほか、OpenStackで構築したクラウド環境や、vSphereで管理する仮想環境なども連携できる。
開発者と運用担当者の比率を500対1にすることを目指し、運用業務を自動化、抽象化する機能を多数搭載。インフラやアプリケーション開発言語の違いを意識ぜずに管理できるといった特徴がある。
PCFは、今回のメジャーバージョンアップを機に、Cloud Foundryに順ずるかたちで大きく構成を変更している。
これまでPCFとして提供されていた、PaaSを実現するコアコンポーネントは「Pivotal Application Service (PAS)」という名称に変更。PCFは、ブランド名のような位置付けで、プロダクト全体を指す名称として使われることになった。
加えて、「Kubernetes」をベースにしたCaaS(Container as a Service)コンポーネント「Pivotal Container Service (PKS)」を新たにリリースし、コンテナ技術に対応した環境を実現している。
さらに2018年中には、サーバレス環境を実現するFaaS(Function as a Service)コンポーネント「Pivotal Function Service(PFS)」もリリース予定。こちらは、OSSプロジェクト「Project riff」として開発が続けられている。
2018年は、PKS/PFSという新たな選択肢を提示して先進企業を支援するほか、国内パートナー企業を増やし、エコシステムを確立していく意向を示した。