2月19日から20日に開催された「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018」では、AIをはじめとする最先端のテクノロジーが大きく取り上げられていた。企業は顧客体験向上にテクノロジーをどう役立てていくべきか。本稿では、ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター マグナス・レヴァン氏による講演「カスタマー・エクスペリエンスのためにAI会話型プラットフォームを活用する - より良く、より速く、より安く」の模様をダイジェストでお届けする。
“心臓部”は「言語解析」と「意図の処理」
ガートナーでは、会話型エージェントを人間とのやりとりを行う「仮想パーソナルアシスタント(VPA)」「仮想顧客アシスタント(VCA)」「仮想従業員アシスタント(VEA)」「チャットボット」と、人間とのやりとりのない「ボット」の5つに分類しているという。
レヴァン氏は、これらのうちVPA、VCA、VEAのテクノロジー領域の収斂が進んでいることを指摘した。その立役者となっているのが会話型プラットフォームだ。レヴァン氏は、会話型プラットフォームを「自然言語エンジン」「要求を受け取り、音声またはテキストで返答するユーザーインタフェース」「知識とコンテンツのビッグデータリポジトリを横断できる検索・ナレッジエンジン」「個人の意図を分析し、パーソナライズされた回答や他のアクションを提供するコンテキストエンジン」の全てを満たすものだと説明する。
会話型プラットフォームの基盤は、言語処理技術などで構成されている。ユーザーインタフェース(UI)を介した処理の流れは、次のようになる。まず、UIはコネクタを経由してユーザーが発した言葉をテキスト化し、言語処理エンジンにフィードする。次に、言語処理エンジンはテキストを「意図」に変換する。そして、意図を処理するエンジンがその処理を行い、UIを介してユーザーに回答を返す。
「AIが使われているのは、実は言語処理のエンジン部分だけ」と、レヴァン氏は指摘する。音声アシスタントに何か曖昧なことを言っても、しっかりとした答えが返ってくるので、一見すごいように見えるが、実はAIはほとんど関与していないのだという。
仮に人が「寿司を注文して」と言ったならば、その人の意図を理解して、実際に注文を完了し、寿司が届くようにするまでの解釈ができなければならない。その意味では、処理を下支えするテクノロジーも大事な役割を果たす。