PTCは2017年12月12日、プライベートイベント「PTC Forum Japan 2017」を都内にて開催した。基調講演には米PTCの製品・マーケット戦略統括エグゼクティブ・バイス・プレジデント キャスリン・ミットフォード氏と、ThingWorx プラットフォーム エグゼクティブ・バイス・プレジデント マイク・キャンベル氏が登壇。「フィジカルとデジタル融合の追求 - PHYSICAL DIGITAL CONVERGENCE」をテーマに、PTCのビジョンと製品を紹介した。
あらゆる局面で起こりつつある「融合」
CADやPLM、ALMで知られるPTC。近年は、IoTプラットフォームやARの分野に注力し、企業のものづくりを包括的に支えるプラットフォーム企業としての存在感を増している。
開幕の挨拶に立ったPTC アジア太平洋地域統括責任者の桑原宏昭氏は、国内におけるPTCのビジネスを簡単に振り返った。それによると、IoTプラットフォーム市場ではシェアトップ(富士キメラ総研調べ)で、IoTとARの新規顧客数は2016年度から2017年度で2倍に増加している。現在取り組みを強化しているサブスクリプションビジネスは、全体の78%に達しているという。
PTC アジア太平洋地域統括責任者の桑原宏昭氏 |
桑原氏は「今後はフィジカル世界とデジタル世界の融合が進んでいきます。PTCの製品は、既存のデジタル情報や設計情報、ソフトウェア情報を現実にどう生かすかを助けるものです。ライフサイクル全体でデジタルデータを活用できるようにし、企業をイノベーティブな世界に進めことを追求していきます」と強調した。
続いて登壇したミットフォード氏は、イベントのテーマでもある「フィジカル世界とデジタル世界がどのように融合するか」について、同社の製品ポートフォリオに沿って解説した。
米PTCの製品・マーケット戦略統括エグゼクティブ・バイス・プレジデント キャスリン・ミットフォード氏 |
ミットフォード氏によると、CADやPLM、Webサービス、デジタルツインといったITの取り組みは、デジタル世界を代表するものとなる。これらは、フィジカル世界と交差することはほとんどなく、デジタル世界に閉じることが多かった。だが、最近のトレンドとして、両者の距離が近づきつつあるという。
例えば、3Dプリンティングやスマートマニュファクチャリング、IoTとアナリティクス、AR/VRなどだ。これらは、デジタルだけでなく、フィジカル世界にも関わり、製造や流通、販売の形態を変えようとしている。
「設計、販売とマーケティング、製造、サービスといったものづくりのあらゆる局面で融合が起こっています。フィジカル世界のなかにデジタル世界を描き出すAR/VRなどが良い例です。3D設計データを使ってAR/VRでメンテナンスのトレーニングを行ったり、店舗でAR/VRを使って商品に触れて体験を高めたりできます」(ミットフォード氏)
こうしたデジタル世界とフィジカル世界の交わりはコンバージェンス(融合)という状態にまで進んでおり、ミットフォード氏は、陰と陽が交じり合う勾玉のマーク(太陰太極図)にも似ているとする。実は、PTCの新しいロゴも、そのような融合を表したものなのだという。
また、ミットフォード氏は、ボッシュ・レックスロスの油圧制御機器「CytroPac」の実物を壇上に上げ、ARアプリを使ってCytroPacのメンテナンスのトレーニングを行う様子のデモを披露。
ボッシュ・レックスロスの油圧制御機器「CytroPac」 |
「PTCでは、PLMをIoTそのものだと捉えています。『PLM = IoT』を戦略の中心に置き、ThingWorxなどの製品で企業の変革の”波”を大きくしようとしているところです。皆さんと一緒に、インダストリアルイノベーションプラットフォームを作るという夢に向かって取り組んでいきます」と展望を示した。