SaaS/Fintechを盛り上げる「マネーフォワードファンド」
マネーフォワードは、1月15日に開催した通期決算説明会で、SaaS分野とFintech領域に特化した「マネーフォワードファンド」を設立すると発表した。
代表取締役社長CEOの辻庸介氏は、「我々自身が、このSaaSやFintechの新しい企業なので、さまざまな局面で難しい課題に直面してきた。出資する企業には、そのような経験やノウハウをシェアして、お金だけではなく、実際に事業を伸ばすアドバイスを可能な限りさせていただこうと思っている」と話す。
現在の出資先企業は、ロボアドバイザーの「お金のデザイン」や、クラウドファンディングの「LIFULL Social Funding」「CAMPFIRE」、Eコマースの「BASE」、SaaSサービスの「Sleekr」の5社だ。
また、BASEとは1月始めに資本業務提携を実施している。これにより、決済関連の機能や、BASEを利用する店舗向けサービスを共同で取り組んでいくという。
今後も、出資企業を積極に増やして、国内外のSaaS/Fintech企業を盛り上げていく考えを示した。
全事業好調、引き続き投資に注力
2017年11月期の通期連結売上高は、前期比88%増加の29.0億円と大幅に成長。業績見通し比も8%の上振れとなった。
その内訳として、PFM(Personal Financial Management:個人資産管理)が前期比で74%増加、業績見通し比で14%の上振れを記録。また、クラウド事業が前期比で105%増加、業績見通し比で3%の上方修正となった。
連結営業損益は8億円の赤字、業績見通しでは10億円だったため、2億円改善した。前期比では0.8億円増加に転じた。広告宣伝費を除いた営業損益は4億円増加した。
同社は「現状はIPOを含めて財務基盤が安定しているため、引き続き投資を注力して、中長期の成長拡大を見込んでいくことを想定している」と方針を述べた。
2017年11月期第4四半期以降の主なトピックスとしては、マネーフォワードの利用者が600万人を突破したことを挙げた。
2017年11月付けでM&Aを実施してクラビス社を100%グループ会社とした。
クラビスが提供する「STREAMED」は、領収書や請求書などアナログデータ(紙の証憑)をスキャンするだけで1営業日以内に会計データに変換できる、経理の記帳業務の自動化に特化したソフトウェアだ。
今年度の課題は提携先の拡大
BtoB向けに取り組むべき目標として、金融機関との連携強化を挙げた。
現状も、「マネーフォワードfor○○銀行」といった銀行系アプリを提供している。今後はさらに「かんたん通帳」や「MF Unit」「通帳 Unit」「記事配信 Unit」「おつり 貯金Unit」といった連携サービスを、金融機関向けに拡充していくという。
BtoC向けに、自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」の展開はもちろん、くらしの経済メディア「MONEY PLUS」、クラウド記帳サービス「STREAMED」、お金についてを学べるお店「mirai talk」、貯金アプリ「しらたま」を展開している。このような楽しくお金と関われるサービスをさらに拡充していきたいという。
BtoBtoC事業では、資産管理機能を他社へ提供するサービス「MF Unit」を提供している。第1弾として、ジャルカードにJALカードアプリの機能を提供した。複数の企業に向けて展開していく考えで、BtoBtoC事業で利用できる製品ラインアップを広げていくという。