日本マイクロソフトは11月8日、9日の両日、今後のビジネスにおいて必要とされる最新技術やソリューション動向を紹介する技術カンファレンス「Microsoft Tech Summit 2017」を都内で開催した。
初日の基調講演には、米マイクロソフト コーポレーションのグローバルセールス マーケティング & オペレーション エグゼクティブ バイスプレジデント兼プレジデント、ジャンフィリップ・クルトワ氏が登壇。マイクロソフトが考えるデジタル革新の本質について言及した。
マイクロソフトの過去33年で最大の変化がこの3年間で起きている
「企業は止まることなどできない。なぜならば世界が動いているからだ」
──開口一番こう語ったクルトワ氏は、マイクロソフトで過ごした過去33年を振り返り、「業界の大きな変化を目の当たりにし続けてきた。しかし、マイクロソフトが最も大きく変わり始めたのは3年前からだ」とした。
マイクロソフトでは、真の意味での文化を組織に根付かせるべく、文化のトランスフォーメーションを進めているという。
「そのためには、自分たちの存在意義や使命あるいはコア・アイデンティティなどを問いかけないといけない。そこで3年前にわれわれ自身のミッションを定義したのだ」(クルトワ氏)
同社が定義したミッションとは、「地球上のすべての組織がより多くのことを達成できるようにする」というものだ。これまで、モバイルやクラウドがさまざまなことを可能にし、そしてこれからの世界ではインテリジェントクラウドへと進化しAIの活用が進んでいくと考えられる。例えば、コネクテッドカーの世界を後押しするのは、AIの力と大量のデータであるはずだ。
このように、地球上のあらゆるサービス/製品がデジタル化されていくなかで、マイクロソフトではデジタルトランスフォーメーションの実現に向けた戦略を描いている。
それは「モダンワークプレイス」「ビジネス アプリケーション」「アプリケーション&インフラストラクチャー」「データ&AI」というそれぞれの領域について、社員に力を与えるとともに、顧客とつながり、業務を最適化し、そして製品の変革を進めていくというものである。
「われわれの顧客はデジタルトランスフォーメーションを軸に最先端を進んでいる」と力説したクルトワ氏は、そのうちの一社である三菱ふそうトラック・バスのCIO、ルッツ・ベック氏を壇上に招いた。
「三菱ふそうトラック・バスは、非常に大胆なビジョンでデジタル化を進めている。デジタル製造からトラック/バスまでをデジタルでつないでいるのだ」(クルトワ氏)
これまで自動車業界は破壊的な変化を経験しており、そこにデジタル変革が追いついてきた段階にある。そこで三菱ふそうトラック・バスでは、膨大なデータを収集するとともに新しいビジネスやサービスなどを再発明して、トラック・バスのビジネスに新しい価値をもたらそうとしている。
なぜ大型車メーカーがDXに注力するのか
ベック氏は、三菱ふそうトラック・バスがデジタルトランスフォーメーション戦略を推し進める理由として、「顧客」と「競争の激化」を挙げた。
まず顧客については、「われわれの顧客は”つながっている”世界に住んでいる」としたうえで、こう説明した。
「だからこそわれわれもまたつながらねばならないし、それがわれわれにとってビジネスの牽引力となるのだ。顧客はどこにいようと接続を求めているのだから、われわれもまたつながりを提供していきたいと考えている」
続く、競争の激化に関してベック氏は、「今、いろんな産業の企業が自動車業界に参入したいという考えを持っている。一方、われわれには85年以上の歴史がありこのビジネスをよく知っているという自負がある。だからこそわれわれの使命として、新しい自動車業界を再発明していかねばならないのだ」と強調した。
三菱ふそうトラック・バスは伝統的な製造業であるもののイノベーションに力を入れるためにチーム構成を大幅に刷新している。現在では15ヶ国のスタッフが、多様な労働形態で仕事をしており、外の世界から積極的に知識を取り入れているという。
最後にベック氏は「基本的に、世の中を変えていきたいというのがわれわれのコンセプトだ」と訴えかけ、クルトワ氏に送られて壇を後にした。