若手社員がメンターとなり、役員にIT知識をレクチャーする――そんなユニークな試み「リバースメンター制度」を昨年試験的に導入し、今年から本格展開した資生堂。前編では、このリバースメンター制度が生まれた経緯や実施の狙い、成果についてお届けした。
では、実際にリバースメンター制度に参加するメンター・メンティーは、どのような時間を過ごし、何を感じているのだろうか。メンティーに立候補した資生堂ジャパン 取締役 執行役員 コスメティクスブランド事業本部長の髙津繁一氏と、髙津氏のメンターを務める同社お客さまセンター お客さま情報グループの北畑絵里氏にお話を伺った。
制度への参加で初めて出会った2人。そのきっかけは……?
――まずはお2人の仕事の内容から教えていただけますか。
髙津氏:中価格帯のコスメ事業全体を担当しています。主にドラッグストアやコンビニ、ホームセンターなどで取り扱いのある商品です。
北畑氏:私はコールセンターに寄せられるお客様の意見や店舗のビューティーコンサルタントからの意見を分析して、各部署にフィードバックしています。
資生堂ジャパン お客さまセンター お客さま情報グループの北畑絵里氏(左)と、同社 取締役 執行役員 コスメティクスブランド事業本部長の髙津繁一氏(右) |
――まったく違う仕事領域のお2人が、リバースメンター制度に参加することになったきっかけを教えてください。
髙津氏:仕事が多様化するなかで、当社では働き方の見直しを進めています。(仕事が多様化しても)人員が増えるわけではないので、効率化するにはIT活用を進めるしかありません。ただ、重要性はわかっていても、自分自身にはITを活用するスキルが十分ではありませんでした。そんなときにリバースメンター制度をやるという話を聞き、すぐに手を挙げました。
北畑氏:メンターは、自分で手を挙げるのではなく(自事業部の役員から)推薦されて決まります。最初は私でいいのかなと思ったのですが、業務の垣根を越えてお話させていただけるのはとてもためになっています。
――お2人はリバースメンター制度で初めて対面されたわけですね。第一印象はいかがでしたか?
髙津氏:僕は良い機会をいただけたと思いました。もちろん日頃から営業レポートなどは見ていますが、商品へのお問い合わせ状況やお客様の生の声などは私の立場ではなかなか把握できないので、そういうことも含めて教えてもらえるのが新鮮でしたね。
北畑氏:役員の方なので緊張しましたが、いざお会いしてみると気さくで、とても柔軟な考え方をされる方だと思いました。